高知県 土佐龍
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四万十川の近くにある檜を扱う工房・土佐龍の池龍昇さんは工房の浦山を歩く足を止めて、土の上に落ちていたあるものを拾って見せてくれた。「これが檜の赤ちゃんですわ」。緑豊かな裏山にたくさん転がっている、直径4mmほどのサッカーボールのようなかたちをした小さな種子。これらが育つまでに30年以上かかるそうだ。山の南側に生えている木は、日の当たる側面とそうでない側面の差が激しいため、年輪が歪み楕円形になる。北側に生えている木は、円形になっている。原木の丸太を指差しながらまた池さんが教えてくれた。木を触って44年。木や森について話す池さんの口調からは、深い愛情が伝わってくる。
「17歳のときからいつか自分で会社を作ってやるぞという気持ちで働いていましたから、苦労したという想いはないんですよ。早く独立したかったから、一番長い時間働けるところを選びました。営業のノウハウを勉強して、44年前の26歳のときに独り立ちしました」。

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「当時は、若さと前向きさだけはあったけれど、金はなかった。でも、昔から木を削ったり何かを作ることが好きだったので、 ノミ1本だけ手に入れて、お土産品の木彫りの闘犬を作ることにしたんです。 腕とノミと材料さえあれば、他に何もいらないですからね。土産物で四国一になるぞ、という思いで、 作った闘犬を色々なところに持って行って営業しました。生意気な若者が急に闘犬を持ってきたって、 最初は売れなかったですけれど、『商品はデコ(土佐弁で“人”)の多いところでやらないといけん』 という祖父の言葉を思い出してね、人気のあった道後温泉の近くに営業に行ったんです」。 池さんの人柄が現れているような、荒削りだが、どこか温かい印象の木彫りの闘犬。 四国の土産屋で人気を得たが、その後、観光客の減少に伴って売り上げも低迷してしまったそうだ。 ちょうどその頃、誘いを受けてアメリカでの見本市に出品することとなり、渡米。 そこで池さんは海外のライフスタイルを目の当たりにすることになる。 「“台所”ではなく“キッチン”で、木のトレイなんかが使われているのを見ましてね。 これは早速作ってみよう!と日本に戻って、素材を色々と調べてみました」。 森林面積率84%を誇る、全国屈指の森林県である高知県。特に土佐龍の工房のある四万十川流域は、 檜の豊かな産地だったのだ。そうして、檜を用いてまな板から作り始めた池さんだが、 当時、国産檜を使ったまな板といえば木曽が有名産地。どこにも取り合ってもらえない状況 に頭を悩ませた池さんはあるアイディアを思い付く。 「アメリカで見せてもらったものを思い出したんですわ。それまで、『まな板』として 営業に持って行っていたものを、『カッティングボードです』 と言って持って行くようにしたわけ。そうしたら『それはなんだ、一旦見てみるか』 というものになるわけですよ。良い物ですから、一旦ちゃんと見てもらったらあとはこっちのものです。 そうして、取り扱ってもらう店を増やしていきました」。物に自信があった池さんのアイディア勝ちだ。 ちょうど洋風の文化が注目されていた時代。さらに、それまで呼び名の無かった四万十川流域の檜を 「四万十檜」と名付け、池さんの「四万十檜のまな板」は、徐々に人気を確立していった。

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「僕はバードウォッチングや山登りが好きなんですよ。 工房の場所を探していて今工房があるこの場所を訪れたときに、鳥などの動物が色々いてね。 動物がたくさんいるところは悪いところなわけがないと思ったので、ここに決めました。 山を歩いていると、同じ檜でも、ひとつひとつ表情が違うことに気が付くんです。また、 色々な生き物がいるのに木はどうして、何百年も生き長らえるのだろうといったことが面白くて、 成分や、何やら何まで、色々と調べてみました。そのうちに、四万十檜はまな板にぴったりの素材 だということがわかったんです」。森の中に入ると、その心地よい“森の香り”に思わず深呼吸をした 経験がある人もいるのではないだろうか。森の中には動物の亡がらや排泄物といった堆積物が たくさんあるはずなのにも関わらず、その臭気を感じず爽やかな空気が保たれているのは “森の香り”の正体、「フィトンチッド」と呼ばれる成分のおかげだそうだ。 「フィトン(Phyton=植物)」、「チッド(cide=殺す)」という名前の通り、 植物が傷つくと、その傷口を細菌などから守るために内側から放出される抗菌・防腐効果のある成分だ。 また、日本の檜のなかでも特に油性分“ひのきオイル”の多い四万十檜は、水切れがよく、 乾燥に強く耐久性に富んでいる。 人工的に抗菌剤を塗布することなく安全に使用することができるのだ。 「プラスチックのものでも、“抗菌まな板”と言うものがあるでしょう。 でもそれは、抗菌剤を上から塗布しているということですから、使っていれば、 その効果は薄れてしまいがちです。でも檜の場合は、自分の傷を補うように中から 成分が出てくるんですよ。バクテリアなど多様な生物がひしめき合っている森の中で 100年以上も生き抜ける理由が檜にはちゃんとあるわけです」。 木の話をすると、池さんは止まらない。土佐龍で使っているのは、檜の間伐材だ。 それも端材まで余すところなく、有効に利用できるような加工の方法や商品のラインナップが 考えられている。「木を大事に考えていくと、喜んで大切に使ってくれる人に使ってほしいですね。 プラスチックのものよりは少し高いけれど、『ちょっと高かったから大切に使おうね』という人に 使ってほしいと思うんです。無機質なもののなかで生活するよりも、木のなかで生活をしていた方が、 生活が潤うと思うんですよ」。四万十檜の魅力を誰よりも知っている池さん。今の目標は、その惚れ込ん でいる四万十檜を用いて「世界一のまな板屋になること」だと教えてくれた。 高知県の豊かな森の中にある、この工房が、世界中のキッチンを檜の爽やかな香りで満たす日は そう遠くないかもしれない。

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