100%以上の復興を目指す熊本生産者レポート

2016.10.22

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201610月

阿蘇中岳火口の南部、南阿蘇村から高森町にかけて広がる“南郷谷(なんごうだに)”。多くの観光客が訪れてきた熊本屈指のリゾートエリアです。震災からの復活を模索する中、ある老舗宿の再起を賭けた新商品が誕生。そこには、2つの看板を担う後継者たちの友情がありました。

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『地獄温泉・清風荘』。その歴史は約210年前の江戸時代にさかのぼり、細川藩士のみ入浴を許された逸話も残る秘湯です。阿蘇五岳の中腹、国定公園内にたたずみ、長期滞在する湯治客のために自炊棟を備えた温泉旅館として愛されてきました。

「名物の“すずめの湯”の特長は、湯船の真下から自噴する新鮮な源泉に直接入浴できること。空気に触れると硫黄などの成分が結晶し、有効成分の塊である“ガタ”が沈殿します。これを身体に塗って乾かすと、皮膚にとてもいいんです」

そう熱く語る、代表の河津さん。会計と厨房をつかさどる2人の弟や、宿を慕い集まってきた従業員とともに、宿を切り盛りしてきました。

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震災で特に甚大な被害を被ったのが、『地獄温泉・清風荘』でした。
4月16日の本震によって地獄温泉まで続く道は寸断され、宿が孤立。宿泊客と従業員をあわせた約50人が自衛隊のヘリで救出されました。地割れや本館の歪みはあったものの入浴施設は無事だったため、宿へ足を運んでは手作業で手直しを進めていた矢先、6月の集中豪雨による土石流が追い打ちをかけます。

「雨で緩んだ山の泥土が建物や泉源をまるごと飲み込み、その高さは2メートル近くに達していました」

復旧作業はすべて台なしとなり、頭は真っ白。清風荘の中は、川から流れ込んだ泥流で、泥が堆積してしまっていました。

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普通なら心が折れてしまいそうな状況の中、河津さんは落ち込み続けるどころか、かえってやる気がみなぎってきたと言います。

「すべてゼロになってしまい、これ以上マイナス要素が入る余地はないんです。あとは前に進むだけ。200年という歴史の中で、こんな出来事もあるでしょう。これから再建するものを100年、200年と守り継がれるものにしていきたい」

その表情は、清々しくも見えます。

現在も土砂崩れによって一般の立ち入りさえ出来ない状況ですが、「またここで働きたいと願う従業員や再開を願うお客さまのためにも、1日も早く復元したい」と、時には歩いてでも毎日現場に行き、泥の除去や清掃によって、清風荘や露天風呂がすぐにでも復活できるように、手入れを続けています。

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地獄温泉に通う中で、河津さんは奇跡に出会ったと言います。
地獄温泉の隣にある『山口旅館』から望める滝をふと見上げると、地震によって上半分が崩れ落ち、木々の緑に覆われていた滝が新たに出現。上下が繋がることで、長く美しい滝が誕生していたのです。

河津さんは、自然の強大な力による脅威を震災によって感じると同時に、美しい滝を生み出した自然の恵みを感じ、自然の中で生かされていることを再認識したそうです。そして、南郷谷に人を呼び戻す時には、自然の力と美しさを感じてもらえる場所にしていきたいとの目標を持つようになりました。

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「ただ元の状態に戻すだけの復活ではなく、それ以上の状態にする復興を目指すのです」

そして河津さんは、地元企業68社の賛同を得て、震災によって生まれた滝から、崩落した阿蘇大橋を一直線上に見渡せる場所にメモリアルゲートを設けようとしています。

「土石流で広がった川幅を生かしたキャニオリング、星空を眺めるナイトツアーなど、自然の厳しさと美しさを体感してもらえる観光地を目指したい。そのゴールとして地獄温泉に浸かっていただければ。来年度あたり実現できるといいですね」

南郷谷へ行きたくなる“物語”を作ることができれば、これまで以上の観光地になる。そんな思いが、吉良さんのやる気を後押ししています。

「色々な取り組みを進めながら、清風荘が再開する日を待ちたい。そのために、じっくり仕込んでいるところです」

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河津さんは、地獄温泉の復興を目指すかたわら、清風荘で培った味を皆さんに届けていきたいとの思いから、前回の記事で紹介した『豊前屋本店』の吉良さんに相談。

冬の名物として提供していた“猪鍋”にも合う鍋専用の「赤味噌」と、柚子の皮をすりおろすところから手間暇かけて作る「柚子胡椒」の清風荘看板商品をセットにした“地獄温泉復興応援ギフト”を豊前屋から販売することにしました。※現在、本サイトでは単品のみの販売となります。

猪鍋用に開発した麦味噌は長期熟成が持つまろやかさの中にキレがあり、昆布だしで好きな肉と野菜を炊いて味噌を加えると、食材の甘みが引き出されます。この鍋に欠かせないのが、紅葉色をした清風荘手作り柚子胡椒。爽やかな香りと熟した柚子の華やかな甘みが、辛さの中から広がります。

震災を機に、お互い助け合うことで南郷谷の復興を目指していこうという2人の社長の友情から生まれた商品です。

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取材・文/三角由美子 写真/山口亜希子

※本記事の情報は2016年8月取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。

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地獄温泉 清風荘 (現在は休館中)

所在地: 〒869-1602 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽2327


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阿蘇マルキチ醤油 豊前屋本店

所在地: 〒869-1602 熊本県阿蘇郡高森町高森1231
電話: 0967-62-0535

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復興を目指す老舗の絆から生まれた
オリジナル商品

<味噌かりんとう> 432円(税込) 清風荘と豊前屋本店が、共同で作った味噌かりんとうです。 地獄の鬼もほほ笑むうまさ!是非ご賞味ください。(写真左)

■【地獄温泉×豊前屋】味噌かりんとう

<猪鍋みそ> 540円(税込) 清風荘の名物料理「猪鍋(ししなべ)」。 名湯とこの味を求めて訪れるお客さまが絶えませんでした。 「お宿復活のその日まで、具だくさんのお味噌汁でお楽しみいただければ…」 との思いでできたおみそです。色々な汁物に合みそです。(写真右)

■【地獄温泉×豊前屋】猪鍋みそ

<ゆず胡椒> 540円(税込)
清風荘で手作り、熟成された「ゆず胡椒」。これからの季節、 鍋物に、湯豆腐に、サラダの隠し味に…。色々なシーンでお使いいただける調味料です。(写真下)

■【地獄温泉×豊前屋】ゆず胡椒

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