Vol.2 熊本ワイン

熊本ワイン株式会社の幸山賢一さん

生産者とワイナリーの二人三脚!
心を尽くして育てたブドウで造る
世界で認められた“熊本のワイン”

今、注目されている熊本のワイナリー

ワインの産地といえば、世界のトップシェアを誇るフランスを始め、イタリア、スペイン、ドイツなどのヨーロッパ周辺地域が有名。これは、夏は高温で低湿度、冬は温暖という地中海性気候がワイン用ブドウの栽培に適しているからです。手頃な価格のワインの産地として知られるアメリカ・カルフォルニアやオーストラリア、チリなども、似たような気候の地域です。

一方、近年注目度が急上昇中の日本ワインの産地は、山梨、北海道、長野、山形といった、いずれも甲信越以北のエリアが中心。今から140年前、日本初のワイナリーが設立されたのも山梨でした。現在は、北は北海道から南は宮崎まで、計328の果実酒製造場がありますが、九州は雨や台風の影響を受けやすく、長年ワイン用ブドウの栽培には不向きと考えられてきました。

そんな中、2009年に「熊本ワイン」の「菊鹿ナイトハーベスト2008」がアジア最大級のワイン審査会『第12回ジャパン・ワイン・チャレンジ』で最優秀新世界白ワイントロフィーを受賞。九州産ワインの評価が一気に上がりました。「菊鹿産シャルドネ」は、その後も日本ワインコンクールで数度金賞を受賞。一躍、脚光を浴びる存在となったのです。

熊本ワインの幸山社長と鶴屋の蓑田哲也

熊本ワインの幸山社長(写真左)と鶴屋の和洋酒セールスマネージャーの蓑田哲也

徹底した品質管理がなされているワイナリー

近代的な設備のもと徹底した品質管理がされているワイナリー

米や栗の農家がワイン用ブドウを栽培!?

「熊本ワイン」が誕生したのは1999年。熊本市北区の食のテーマパーク「フードパル熊本」内に、工場見学ができる体験型ワイナリーとして誕生しました。ギャラリーやワイン直売所も備えた施設です。

設立の目的は「熊本で栽培したブドウでワインを造ること」。熊本県内の山鹿地区、植木地区、菊池地区、益城地区、不知火地区、熊本市内などのぶどう産地との取り組みが約20年前にスタートしました。また、鹿本郡菊鹿町(現在の山鹿市菊鹿町)では、3人の契約農家によって約650本のワイン用のぶどう品種・シャルドネの苗木が植えられました。この苗木こそが後に数々の受賞に輝く「菊鹿産シャルドネ」を生み出していくことになるのです。

熊本県北部にある菊鹿エリアは、大分県と福岡県との県境に位置。緑豊かな山林地帯です。昼夜の寒暖差が大きい点はワイン用ブドウの栽培にとってメリットですが、梅雨時期の雨量や湿度、台風の影響などデメリットも多い土地でもありました。

「最初は試行錯誤でした」と話すのは、熊本ワイン株式会社代表取締役社長の幸山賢一さん。また、契約農家の一人である平川洋介さんは「引き受けた農家は、米や栗、イチゴが専門で、全員“ブドウ初心者”(笑)。土づくりやぶどうの仕立て方など、一から勉強でした」と当時を振り返ります。

熊本ワインで農業指導を務める顧問の渡邊和敏さん

熊本ワインで農業指導を務める顧問の渡邊和敏さん

設立当時の試行錯誤を語る幸山社長

設立当時の試行錯誤を語る幸山社長。現在は、菊鹿ワイナリーの準備で大忙しの毎日。

ワイン製造と農業の職人が二人三脚で作ったワイン

しかし、ぶどう栽培の適地とはいえず、経験もなかった分だけ努力と工夫が畑に注がれました。「熊本ワイン」では、農業指導者・渡邊和敏さんを顧問に迎え、幸山さんらワイナリースタッフが、契約農家と二人三脚で問題を一つずつ解決していきました。仕立てには垣根式のレインカットを施して雨よけをし、畝(うね)にはマルチ(ビニール)を張って雨水の浸水を防ぎます。また、葉が生い茂りすぎて風通しが悪くならないように思い切った剪定をするなど、収穫量よりも品質を優先した栽培方法が選択されました。4軒でスタートした契約農家も現在は30軒になっていますが、今でもワイナリーの製造責任者は頻繁に現地へ足を運び、土地に合わせた栽培管理を徹底して行っています。収穫時期直前の8月頃には実食し、糖度や酸度の数値を参考にしながらも、最終的には自らの舌で収穫日を決めています。

そして、最初の苗木を植えてから7〜8年経過した頃、高品質のブドウが収穫できるようになりました。最適な収穫のタイミングを見極め、丁寧に搾って発酵、熟成させる。こうしてでき上がったのが「菊鹿産シャルドネ」です。なかでも、気温が低い夜間に収穫し、フレンチオークの樽で発酵、熟成させたこだわりの“ナイトハーベスト”が、2009年に大きな注目を集めることになったのです。

菊鹿町でシャルドネを作り続けている平川洋介さん

「熊本ワイン」設立当初から菊鹿町で契約農家としてシャルドネを作り続けている平川洋介さん

オール熊本人で造る“熊本ワイン”

熊本ワインは平成生まれの新しいワイナリーです。そのため醸造設備も新しく、充実しており、衛生管理も徹底されているのが特徴です。ワインの発酵温度はタンクごとにコンピューターで細かく管理され、ろ過で清澄し、澱(おり)や雑味を取り除くことで“綺麗な味”と評されるワインができあがります。

特にこだわりの強い「菊鹿産シャルドネ」は、原料の栽培から醸造、出荷まで品質管理に妥協を許しません。そのため生産できる本数に限りがあり、なかなか市場に出回りません。

「原料の生産からワインの製造まで“オール熊本人”で取り組む、熊本産100%の“熊本ワイン”。ブドウの持ち味をボトルに凝縮させた個性的な一本です」と話す幸山さん。今年の秋には山鹿市と共同で菊鹿町に「菊鹿ワイナリー」をオープンする予定です。敷地内にはワインの醸造所や販売店舗、1.5ヘクタールの自社ブドウ農場、市の6次産業化・観光連携推進施設などが並ぶ予定です。幸山さんは「ワインに合う料理を提供するレストランも併設し、観光も兼ねてゆっくりと滞在していただけるような施設を目指しています」と構想を教えてくれました。

たわわに実ったシャルドネ種

たわわに実ったシャルドネ種。守備範囲の広い白ワインが生まれます。

ワイナリーに併設された販売所

ワイナリーは販売所も併設。好みの1本を探し出すのも楽しみです。

こだわりの強い「菊鹿シャルドネ樽熟成」

高い品質に定評のある「菊鹿産シャルドネ」の中でも、特にこだわりの強い「樽熟成」

旬野菜とのペアリングを楽しむ

淡い黄金色の小粒なブドウ「シャルドネ種」から造られた「菊鹿シャルドネ樽熟成」は、ステンレスタンクで発酵させた後、さらにフレンチオーク樽で熟成させたワイン。「菊鹿産シャルドネ」の中でも「樽熟成」は生産量の少ない時期限定の商品なので、地元熊本でもなかなか手に入らない希少な商品です。

トロピカルな果実の香りと、焼き菓子のようなバニラ系の香りが絡み合う、品の良い辛口タイプ。グラスから漂う南国フルーツのような香り。口に含むと芳醇でクリアな味わいが舌に広がります。「洋食はもちろん、和食とも相性が良い。熊本産の農産物や郷土料理とも合わせて楽しんでほしいですね」と幸山さんもその味には自信を持っています。

合わせる料理のジャンルを選ばない懐の深さが魅力ですが、あえて挙げるならみずみずしい旬野菜とのペアリングを楽しんでいただきたいもの。特に、春から初夏にかけて旬を迎えるグリーンアスパラガスに、コクのある旨みのチーズやクリームソースを添えた一皿は、よく冷やして味わいに爽やかさが増した「菊鹿シャルドネ 樽熟成」と相性抜群。

また、軽く塩を振ってグリルした赤身肉、桜鯛のマリネ、サヨリのフリット、あさりの酒蒸しなどもおすすめ。あまり気負わずに、ふだんの晩酌シーンに取り入れたい一本です。

菊鹿シャルドネ樽熟成と相性のよい一皿

旬の素材・アスパラと組み合わせるのもおすすめです。チーズやクリームソースとの相性も抜群。

文=三星舞/写真=野中元

Information

画像:熊本ワイン

熊本ワイン

1999年、熊本初の本格ワイナリーとして誕生。創業約20年にして、様々なコンクールでの受賞歴を持つ新進気鋭のワイナリー。主なブランドに、熊本の花々をラベルにあしらった「肥後六花シリーズ」、山鹿市菊鹿町産のブドウで造る「菊鹿シリーズ」、2017年より発売のシリーズでスパークリングワインの「ATSUシリーズ」などがあります。

画像:菊鹿シャルドネ樽熟成2016

菊鹿シャルドネ樽熟成2016

菊鹿町産のブドウだけを原料に、少しずつ圧をかけてていねいに搾った果汁を発酵させた後、フレンチオークの木樽で1年間ゆっくり熟成。バニラのような香りが特長です。

■4,082円(税込)*別途、冷蔵便の配送料をいただきます。
24本限定〈予約販売〉*おひとり様、1本に限らせていただきます。
●内容量:750ml ●アルコール度:13度 ●白・辛口 ●箱入り
■今回のご注文は予約販売とさせていただきます。
発送は7月初旬からとなりますのでご了承くださいませ。

今シーズンの承りは終了いたしました

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