Vol.3 HITOYOSHI

※掲載価格は、旧税率で表示しております。

HITOYOSHI株式会社 代表取締役工場長 竹長一幸さんの画像

職人たちが作り上げる
着心地と格好良さを追求した
MADE IN HITOYOSHIのシャツ

工場閉鎖を乗り越えて新たなシャツ作りに挑戦

「私が着たいと思えるシャツを作りました」と、にこやかに話す竹長一幸さん。「HITOYOSHI株式会社」の代表取締役工場長です。そのすらりとした体には、爽やかなブルーのシャツが柔らかくフィットしています。着心地の良さと美しいシルエットのために手間を惜しまない職人たちが作り上げた一着であることが見てとれます。

同社の前身となる工場の創業は1988年。大手アパレルメーカーのソーイング工場としてスタートしました。同工場での縫製は百貨店で販売するドレスシャツに特化しており、当時最先端の機器を導入。職人たちの技術は百貨店に通用する基準を十分に満たしているだけでなく、正確で丁寧と評価され、海外の高級ブランドのライセンスも取得していました。

しかし、2009年、親会社が会社更正法の適用を申請。工場も閉鎖が決定しました。大分県にあった工場での勤務を経て、同工場の立ち上げに携わり、代表を務めてきた竹長さんは、現社長の吉国武さんとともに、何とか工場が生き残る道を模索したと言います。そして、独立することを決意。長く培ってきた職人たちの縫製の技術を継承する意義も含め、年々シェアが減ってきていた国産のシャツ作りに、改めて挑戦することにしたそうです。

独立当初は、アパレルメーカーのOEM生産が中心でしたが、「小さな取り引きを続けながら、いずれは自社ブランドを手がけたいねと話していました」と竹長さん。そして、東京の百貨店との共同企画の話を持ちかけられ、シャツに工場の名を付けることに。工場と職人発のブランドHITOYOSHI MADE IN JAPAN≠ヘ、人吉で作られる高いクオリティーのシャツとして注目が集まり、徐々にその名が広がっていきました。

熟練の技術を持つ職人たちの画像

襟や袖などの班に分かれ、それぞれのプロが1枚ずつ丁寧に、熟練の技術で縫い上げていきます

ショールーム(HITOYOSHI本社工場)の画像

HITOYOSHIシャツの世界観を表した、打ち合わせなどに使われるショールーム

着心地が良く、シルエットは美しく

シャツのデザインは、東京支店の営業企画スタッフが行っています。品質へのこだわりは、随所に見受けられます。「格好いいデザインであり、かつ着心地の良さを重視しているので、曲線が多くて立体的なシャツに仕上がっています」。また、着心地の良さは、綿100%の生地へのこだわりにも表れています。

近年の素材の主流は形状記憶、あるいは形態安定シャツと呼ばれる生地に分子レベルの加工をほどこしたもの。大量生産でき、低価格で製造できますが、一日中着用していると首回りがこすれて痛くなることもあるのです。しかし、こうした加工を施さない綿100%の生地だと、肌にもやさしい着心地となります。

代表取締役工場長の竹長一幸さんの画像

代表取締役工場長の竹長一幸さん

首に沿うようにカーブした襟元の画像

襟元は、首に沿うようにカーブ。ノータイ時にも綺麗に立ち上がって見える美しいラインです

手間を惜しまずディテールにこだわる

次に、アームホール。くりを深くすることで、腕を上に上げた時にも裾の部分が繰り上がらないデザインです。また、襟は表と裏の長さを変えて裁断されているのもポイントです。「同じ長さで縫製してあると、アイロンをかけた時に裏側にシワが寄ってしまいがちです。裏側を5mmほど短く裁断しておくことで解消できますし、ふわっとした自然なロール感が生まれ、見た目も美しく仕上がります」と、竹長さんがその理由を教えてくれます。そのためには、ミシンをかける段階で裏側の生地をほんの少しずつ伸ばさなくてはなりません。生地によって伸縮が異なるため、職人の技術と経験が求められる工程です。

同様の技はカフスにも用いられ、手首にフィットする円筒形に。加えて袖は、手首に向かって細くなっている人間の腕に合わせて先細型のデザインが取り入れられています。さらに、身頃の縫い代は折り伏せ縫い。手間はかかりますが、この処理を行うことで、見た目の美しさはもちろん、強度が高まります。そして、裾はシャープさを追求したラインを採用。ボタンは天然の二枚貝が使われています。

全体の印象を左右する縫い目は、3cm間に21〜24針。一般的なシャツの場合は15〜18針ですから、これ一つをとっても、細部にいたるまで妥協しない厳しさがうかがえます。

熟練の技を持つHITOYOSHIの職人たちの画像

生地の特性を見極めながら、迷いのないスピードでミシンがかけられます

1枚のシャツに凝縮される熟練の職人の技

これら数々のこだわりを1枚のシャツの中に表現していくのが、熟練の技を持つ職人たち。工場内にはずらりとミシンが並んでいます。奥には1本60mの生地が整然と積まれています。また、型紙をもとに製図するCAD、何枚も重ねた生地を、一度に正確に裁断できる自動裁断機も。

20ほどのパーツに裁断された生地は、襟や袖、前身頃、後ろ身頃などに分けてそれぞれ専門の職人によって縫製されていきます。例えば襟の場合は端から5mmの縫い幅と決められています。長さの違う裏と表の襟を縫い合わせるスピードの早さはもちろん、マチ針なども用いずに長さをそろえて仕上げられていく正確さにも驚かされます。

最後は1枚ずつ人の目と手で検品され、縫いの不良や汚れ、傷などを細かくチェック。丁寧にアイロンがかけられた後、美しくたたまれ、タグ付けされて完成です。

ディテールにこだわったアームホールの画像

袖は手首に向かって細くなるデザインで、カフスは手首にフィットする仕上がり

シャープなラインの裾の画像

裾はシャープなライン。おしゃれなピースで補強されています

肌着を着なくても着心地の良い綿素材のシャツの画像

肌着を着なくても着心地の良い綿素材のシャツ。美しいシルエットで一枚でもスマートに見せてくれます

長く着続けられるシャツを作る誇り

同工場で製造されるシャツは白とブルーがほとんど。「いずれも、どのような服にも合わせやすい色ですから」とのこと。そして、「HITOYOSHIシャツは、洗うとシワになります。そして立体的ですから、アイロンがけは難しいですよ」と茶目っ気のある笑顔。素肌に着ても着心地の良いシャツを作っているという誇りを感じさせます。

また、上手なシャツの選び方について、「シャツは肩で着るもの。私たちのシャツは、肩にフィットするよう、肩幅を狭めに袖山を高くしています。できれば試着してサイズ感をチェックしていただきたいですね。その際は、ジャケットの袖口から1cmほど出る袖の長さがあるか、襟を閉めたときに首周りにゆとりがあるかなどもお確かめください」と教えてくれました。

「今後はオーダーシャツに力を入れていきたいと思っています。生地や襟型などをご自身で選んでいただけるオーダーメードは、究極の1枚ですから」と竹長さんは話します。人吉で作られる着心地の良いシャツ。「ぜひ、長く着続けていただきたいと思っています」

人気のHITOYOSHIシャツの中でも注目を集めているのが、くまモンシャツです。胸ポケットからくまモンが顔をのぞかせる遊び心あふれるデザインで、これからの季節に着こなしたい半袖が用意されています。熊本を応援する気持ちを、さりげなくポケットに忍ばせておくのも粋ですね。

くまモンが胸元のポケットから顔を出す粋なデザインの「HITOYOSHI × くまモンシャツ」の画像

丁寧に刺繍されたくまモンが胸元のポケットから顔を出す粋なデザインのくまモンシャツ

文=谷端加代子/写真=野中元

Information

画像:HITOYOSHI株式会社

HITOYOSHI株式会社

熊本県人吉市に本社工場を構える日本のシャツファクトリー。HITOYOSHI MADE IN JAPAN≠フブランドは、日本人ならではの丁寧な仕事と確かな品質、こだわりを具現化。着る人が感動する一着となるシャツ作りを追求し、大量生産、大量消費ではない持続可能なものづくり≠フ精神や技術を次の世代に継承しています。

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