Vol.9 ぷらっとぎょくとう

甘くてなめらか。
「幻のすもも」ハニーローザの
アイスクリームです

270本の苗木から始まったハニーローザの栽培

熊本県の北部に位置する玉名郡玉東町。町内に西南戦争の遺跡が点在している史跡のまち≠ニしても知られています。町の中心部であるJR木葉駅の隣に立つのが、2018年6月に玉東町のまちづくりの一環としてオープンした観光案内所『ぷらっとぎょくとう』です。ガラス張りの館内には椅子とテーブルが用意され、誰もが気軽にくつろげる明るい雰囲気が漂っています。

ここで提供されているのが、幻のすもも≠ニ呼ばれるハニーローザを使った加工品の数々です。アイスクリームやシャーベットのほか、甘酒やスープカレーなども並んでいます。中でも一番人気なのが、ここでしか食べられないソフトクリームです。ハニーローザの果汁がたっぷりと入っており、口当たりはなめらか。濃厚な甘みの中にほんのりと感じる酸味が心地よく、後味はすっきり。これからの季節にぴったりの爽やかな味わいです。

この町でハニーローザの栽培がスタートしたのは2003年のこと。玉東町が町の特産品にしようと、熊本県が栽培を推奨するハニーローザの苗木270本を譲り受けたことが始まりです。ハニーローザの導入後は、町と生産者が二人三脚で栽培に取り組んできました。今も約20人の生産者が栽培を続けており、玉東町は日本一の栽培面積と生産量を誇っています。

そして町では、幻のすもも≠フおいしさをもっと全国の方に知ってもらいたいと、生果の販売促進にとどまらず、加工品の開発に取り組んできました。ぎょくとうセレクト≠フブランド名でパッケージデザインを統一。2017年には『ぷらっとぎょくとう』を立ち上げて関連商品の普及、認知度アップに力を入れているのです。

館内には柑橘類の生産者紹介をはじめ、玉東町の特産品も案内されています

「ぷらっとぎょくとう」のスタッフ前田珠美さんと、永田麻衣さん

ハニーローザソフトクリーム(300円)はカップタイプもあります

1年に10日ほどしか収穫できない幻のすもも

ハニーローザは、すももの一種。すももと聞くと独特の甘酸っぱい味を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、ハニーローザの果汁糖度は約14度と、すももの中では珍しく甘みが強く、酸味の少ない品種です。また、肉質はなめらかで、口当たりの良さも抜群です。『ぷらっとぎょくとう』のスタッフの前田珠美さんと、永田麻衣さんは、「小ぶりで酸っぱくないので食べやすいのが特長です。子どもさんでも何個もパクパクッと食べるほどおいしいんですよ」と話します。

そして、ハニーローザが「幻のすもも」と呼ばれる理由について、「生果を収穫できる期間が、1年のうち6月上旬から中旬にかけてのわずか10日ほどしかないからなんです」と教えてくれます。加えて、年間の生産量は約9tと希少。さらに完熟直前を見極めて収穫してもすぐに真っ赤に熟してしまうこと、繊細な果実で少しの衝撃でも傷が入りやすいことなどから、遠方への出荷が難しく、収穫された生果の大半は熊本県内でしか入手できないのです。

玉東町が加工品の開発にも力を入れてきたのは、販売できない生果の有効活用も目的の一つでした。「栽培を始めてからしばらくは、収穫前後に実が割れてしまうことが多かったんです。傷が入っていたり、出荷の規格に満たなかったりする生果もあります。希少なすももなのに、販売できなくなってしまうのはもったいない。それらの実を加工することは、生産者にとってもいいことですし、全国の方に年間を通してハニーローザのおいしさを伝えられることにもなるんです。その取り組みから最初に完成したのが、ハニーローザの甘さと、爽やかな酸味を生かしたアイスクリームです」と永田さん。

玉東町はみかん栽培が盛んな地域。名所の一つである半高山公園からは西に有明海、東に阿蘇を望めます

ハニーローザの果肉ソースがたっぷり入ったアイス

商品化後、アイスクリームは2010年度熊本県優良新商品表彰事業最高金賞(一般社団法人熊本県物産振興協会)を受賞し、町自慢の一品に。熊本県産の牛乳を使って作るアイスは爽やかでクリーミー。最上層と最下層に入っているハニーローザの果肉たっぷりのソースが絡まり、独特の甘味と酸味が口の中で混ざり合いながら溶けていきます。

以降、栽培技術の向上とともに実が割れる割合は減少しましたが、加工品も次々に開発されていきました。コンフィチュール(ジャム)は、ハニーローザを皮ごと煮込んで作る、程よい甘酸っぱさが楽しめる大人におすすめのジャム。皮の食感もアクセントとなり、ヨーグルトやパン、パンケーキなどに添えるのがおすすめです。また、たっぷりの果汁を用い、小麦粉の代わりに米粉を使って作るスープカレーは、酸味と辛味のバランスが絶妙で爽やかな味わいです。夏は凍らせてシャーベット状にしても美味しいノンアルコールの甘酒もそろっています。これらの加工品は、鶴屋本館地下1階「ふるさと家」でも購入できます。

ハニーローザの果肉たっぷりのアイスクリーム。特有の甘味と爽やかな酸味を満喫できる逸品です

ハニーローザの味わいがギュッと凝縮されているハニーローザコンフィチュール(ジャム)

パンをディップしたり、スープとして味わったり…。さらっとした口当たりのハニーローザスープカレー

上野さんは、両親と3人でハニーローザを栽培しています

1本の枝に、驚くほど多くの小さな実がつきます

ブランド化へはデザインも重要な要素。「ぷらっとぎょくとう」がバックアップしています

大きく育てるための管理と収穫に手間ひまを掛ける

「すもも部会」の会長を務めるみかん農家の上野智彦さんは、父親の代からハニーローザの栽培に取り組んできた生産者の一人。ハニーローザの栽培は、年間を通して手間のかかるみかんの育成作業と同時進行で行われており、規模は大きくないものの、玉東産のおいしい果物を育てたいという一心で続けているそうです。

案内していただいた4月上旬の園地はハニーローザの若々しい緑に覆われていました。枝に近づいてよく見ると、びっしりと1cmほどの濃い緑の実がついています。「ハニーローザは、栽培中の手間はあまり必要としません。その一方、摘果時と収穫時に手間ひまが掛かるので、生産者は大変なんです」と上野さん。

毎年冬になると土壌に堆肥を入れ、枝を寝かせて棚に沿わせたりする剪定(せんてい)作業を行い、2月には屋根かけをします。3月中旬になり花が咲くと、上野さんはミツバチを園地に飛ばして着花。4月になると、実を大きく育てるため、また収穫しやすい場所に実らせるため、随時実を落としていく作業が続きます。実際に、上野さんの言葉に足元を見ると、コロコロと固く小さな実がたくさん落ちていました。その後、5月頃からは、2月にかけた屋根が梅雨の大雨から実を守る役割を果たします。

「ハニーローザは、一般的なすももより小さくて、収穫時には1個ずつハサミで切るといった手間が掛かります。手でちぎると実の軸の部分が抜けてしまうことが多く、そこからすぐ傷んでしまうからです」と上野さん。また、収穫後は丁寧にパック詰めする作業も行っています。これらの手間が掛かることや、生産者の高齢化などから年々生産者数は減少しているとのこと。上野さんは、「もう少し実が大きかったら、もっと扱いやすいんですけどね」と苦笑いしながらも、玉東町の名産として知名度が高まってきたことに対する責任感も感じている様子。「おいしくて希少な品種なので、生産量を増やすことができれば」と話します。その意味でも、出荷できない生果をアイスクリームなどの原料として買い取るシステムができたことは、生産者にとってありがたいことと言えます。

酸味が少なくて甘いすももという、際立った特長を持つハニーローザ。1年のうちに10日間ほどだけ姿を見ることができる幻のすもも≠ノ思いをはせながら口に含むアイスクリームの味もまた格別です。

6月上旬から中旬に収穫のピークを迎えるハニーローザ。園地では、うっすら赤みがかった実がたわわに実る美しい風景が見られます

文=谷端加代子/写真=野中元、星野雅俊

Information

画像:一般社団法人 ぷらっとぎょくとう

一般社団法人 ぷらっとぎょくとう

2017年4月、玉名郡玉東町のまちづくりを目的に設立。2018年6月にJR木葉駅隣に観光案内所をオープンし、ハニーローザを使ったアイスクリームやシャーベット、甘酒などを販売しています。中でも人気はハニーローザのソフトクリームで、この店でしか食べられない逸品です。

住所:熊本県玉名郡玉東町木葉603-5(JR木葉駅隣)
TEL:0968-82-8617

画像:ぷらっとぎょくとう「ハニーローザ アイスクリームセット」

ぷらっとぎょくとう「ハニーローザ アイスクリームセット」

玉東町と、町内の生産者が二人三脚で栽培に取り組んできた幻のすもも<nニーローザ。そのおいしさを全国の方に知ってもらいたいと『ぷらっとぎょくとう』が商品開発やパッケージデザインを手掛け、販売にも力を入れているハニーローザアイスクリームです。独特の甘味と爽やかな酸味を持つ果肉入りのソースが、なめらかな舌触りのアイスに絡む逸品です。ご贈答用としても喜ばれる、これからの季節におすすめの味わいです。

■6個入 3,780円(税込)〈1個120ml×6〉〈冷凍・送料込〉
※商品のお届けは、ご注文から約1週間〜10日間後となります

アイスクリームセットの購入は100%熊本百貨店で 100%熊本百貨店「ハニーローザ」商品はこちらから

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