Vol.10 第一紡績株式会社

生産部:桑原英司さん

生産部:桑原英司さん

紡績から縫製まで一貫生産。
日本でも数少ないシステムで作る
着心地にこだわった肌着

真摯(しんし)な姿勢と確かな品質

県の西北端にあり有明海越しに島原の雲仙・普賢岳を望む荒尾市。2015年7月に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を構成する資産として世界文化遺産に登録された万田坑を筆頭に、日本の近代化を上質な石炭で支えてきた工業のまちです。現在もかつての軍需工業や炭鉱管理用地に食品や合板などの製造施設が立ち並んでいます。

中でも注目したいのが、万田坑から車で10分ほどの場所にある第一紡績株式会社です。同社は、紡績(糸づくり)から縫製までを自社で一貫生産できる“垂直型一貫生産システム”を持つ、日本でも数少ない企業です。昭和22年の設立以来、「心・思・愛(しん・し・あい)」を基本理念にした真摯(しんし)なものづくりの姿勢と、その確かな品質が業界内でも評判です。鶴屋でも同社のオリジナルブランド「荒尾の和糸(わいと)」製品を取り扱っています。

北向きの窓を持つ紡績工場の三角屋根

直射日光を防ぐように配置された、北向きの窓を持つ紡績工場の三角屋根は創業当時の造りのまま

石炭の燃えかすを固めたレンガ製の壁

紡績工場と同社を囲む壁は、石炭の燃えかすを固めたレンガで造られたそうです

紡績では多くの工程を経て綿が糸に紡がれる

紡績では数多くの工程を経て綿が糸に紡がれていきます

“上質の着心地”を求めて

「荒尾の和糸」ブランドを、第一紡績株式会社が立ち上げたのは2014年。“上質の着心地”を追求して、綿100%の純国産の高級紳士肌着を開発しました。「私たちが目指したのは、一度袖を通したら忘れることができなくなるような着心地です」と営業部ブランドユニット長の本崇史さん。やわらかくふんわりとしていて、うるおいのあるなめらかな手触り、かつ蒸れ感が少ない。そんな肌ざわりを求めて、各生産部門における知識と技術を結集させたと話します。

同社は、東京ドームおよそ2個分の広大な敷地に、紡績、編立、染色加工、縫製の工場を持っています。生産部製造ユニット長の内田睦夫さんの案内で工場を見学させてもらうと、石炭の燃えかすを再利用したレンガの壁や、戦時中の鉄骨など、いたるところに長い歴史をしのばせます。

荒尾の和糸シリーズは、紳士・婦人用あり

「荒尾の和糸」シリーズは、紳士用としてスタートしましたが、ご要望に応え婦人用もラインアップに追加。目が詰まり、しっかりとした生地でありながら、肌触りはやわらかくふんわりとしています。光沢のある見た目も特徴の一つです

全行程を自社工場で実現

紡績工場内で、「荒尾の和糸」の原料を見つけました。厳選された超長綿で、繊維の長さは一般的な綿の約1.3倍。「精紡交撚(せいぼうこうねん)」という特殊な紡績方法で糸にしてあり、触れるととろけてしまいそうにやわらかく、シルクのように上品な光沢があります。内田さんは「この製法で作ると、一般的な糸に比べて毛羽が少なく仕上がります。さらに撚(よ)りを甘くすることで、やわらかな風合いを実現しています」と教えてくれます。

肌着を完成させるには、まだまだ工程があります。紡績の次はニット(編立)で、丸編機と呼ばれる機械で糸を筒状の布へと編み上げていきます。できた布はノンホルマリンの安全な加工場で二段階の漂白を経て真っ白にしてから(色物は一段階の漂白)縫製へと移ります。

縫製では、四本針ミシンで縫い目をフラットに仕上げます。熟練の技を持つ職人が手がける縫いしろは驚くほどの薄さ。肌に触れたときのストレスを限りなく軽減しています。こうして数多くの工程を経て生み出された肌着は、社内で品質を徹底的に確認。クリアしたものだけが市場に出ていくのです。

ISO9001・ISO14002規格認証

工場は国際標準規格の品質と環境を示すISO9001・ISO14001規格認証を受けています

国内初フェアトレード認証ライセンス

同社は繊維製品の製造会社として国内で初めてフェアトレード認証ライセンスも取得

梳綿、練条…と多くの工程を経て糸を紡ぐ

梳綿(りゅうめん)、練条(れんじょう)、粗紡…と数多くの工程を経て糸を紡ぎます

筒状の布へと編み上げる丸編機

丸編機と呼ばれる機械がズラリと並ぶ編立工場の内部。この機械で筒状の布へと編み上げていきます

編み上げられた布は染色加工の工程へ

編み上げられた布は染色加工の工程へ。蓄積された多くのデータを元に色の調整を行います

縫製の工程までを自社で行う同社

縫製の工程までを自社で行う同社。縫しろを薄くし、肌へのストレスを軽減させる工夫も

お客様のご要望で婦人肌着も展開

鶴屋には、「荒尾の和糸」の肌着を購入されたお客様から「体にするりとフィットする」「夫がこの肌着でないと嫌だと言う」という声が寄せられています。中でも多いのが、「家族があんまり気持ちよさそうに着ているから、私も試してみたい」との女性からのご要望です。そこで第一紡績株式会社に依頼し、婦人肌着も開発。紳士肌着が綿100%なのに対して婦人肌着にはシルクを10%混ぜて、よりやわらかな着心地に仕上げてあります。

紳士肌着は同社のオリジナル型紙を用いて、前身のシルエットをシャープなデザインにすることで、すっきりとした見た目に。加えて立体裁断仕様にすることで、着用中も腕をスムーズに動かすことができます。

すべての工程に妥協を許さず、最高の品質を求めるという「荒尾の和糸」の誕生は、紡績から縫製までを一貫生産する同社だからこそ実現したもの。「70年以上の歴史で培ってきた経験や知恵をつぎ込んだ自信作です。ぜひ一度、袖を通してみてください」と本さんは自信をのぞかせました。

文=三星舞/写真=坂本和代

Information

画像:第一紡績株式会社

第一紡績株式会社

昭和22年、漁網の綿糸を生産する会社として設立。現在は紡績糸やニット生地、縫製品を製造する総合繊維メーカーです。同一敷地内に紡績、ニット、染色加工、縫製の工場を有し、全行程を自社で行う垂直型一貫生産≠可能にしています。「荒尾の和糸」のほか、特殊紡績による機能性素材を次々と開発。作業の迅速性と高品質を両立したものづくりで、国内はもとより海外からも高い評価を得ています。

画像:荒尾の和糸(わいと)

荒尾の和糸(わいと)

厳選された超長綿を100%使用し、全行程を自社生産。体にするりとフィットする“上質の着心地”を追求した肌着です。腕の動きを邪魔することなく、縫い目が肌に擦れて気になることもありません。紳士用は半袖と長袖、ボクサーパンツ他、婦人用はキャミソールやタンクトップ、3分袖、8分袖を展開しています。職人の経験と知恵が結集した肌着は、きっと喜ばれる贈り物になります。

■荒尾の和糸 紳士肌着(V首/白)〈M・L・LL〉 3,500円+税
■あらおのわいと 婦人肌着(シルク混脇はぎなしタンクトップ/ ピンク)〈M・L〉 3,000円+税

商品の購入は100%熊本百貨店で
画像:ETHIWEAR(エシウェア)

国際フェアトレード認証取得のセネガルコットンを使用したライン「ETHIWEAR(エシウェア)」。熊本在住の画家・松永健志さんの油絵をプリントした Tシャツも展開

ETHIWEAR(エシウェア)

国際フェアトレード認証取得のセネガルコットンを使用したライン「ETHIWEAR」は、フェアトレードの認証制度を通して綿花生産者を支援するとともに、エシカルな(論理的な)消費を提案するブランドです。今年の新作アイテムとして、熊本在住の画家・松永健志さんの油絵をプリントしたTシャツを展開しています。

■[ETHIWEAR]熊本プリントTシャツ (オフホワイト)男女兼用〈S〜XLサイズ〉 5,000円+税

販売終了いたしました

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