
朝の来ない夜はない
杭迫 柏樹
米寿を迎え、五年ぶりに、鶴屋百貨店様で個展をさせていただく事になりました。感謝の他ありません。
その間の進歩が問われるわけですが、私の生涯を通しての願望は、「切れば鮮血・打てば快音」の書です。
「人生に誓うものを持つ」ことの大切さを痛感して、いま、「二十一世紀に生きる人間の志を石に刻み、後世に伝えたい」一念で展開中ですが、残念ながら今回は写真での展観をさせていただきます。
本来なら「あなたの大切なことば」を書かせていただくのが理想ですが、「選文」・「書の美」ともに、ご高覧の上、共感していただく作品がありましたらこんなにうれしいことはありません。
新型コロナウイルス禍で、この三年間苦しみましたが、かつて、ルネサンス(文芸復興運動)がペスト大流行後に興った歴史的変革を思うと、「今が一番大事な時」を信じて邁進するしかありません。
加えて、昨年、書が「登録無形文化財」に第一号登録をされたことは、発起人の一人としてこんなにうれしいことはありません。ご来観の上、ご批正を心からお待ち申し上げております。
主催を賜わりました鶴屋百貨店、ご尽力下さいました山下画廊 山下博之社長に深甚の謝意を捧げます。
二〇二二年 秋 日