
熊本市中心部から北東へ約20km、南郷谷との間に位置する阿蘇郡西原村は、俵山や白糸の滝などの観光スポットが点在するドライブコースとして人気です。この地で手作りキャンディーとスイーツの店を営む『AmeYa』が開発したシルクスイートチーズケーキが、熊本の隠れた逸品を発掘する「肥後もっこすのうまかもんグランプリ2022」に選定。鶴屋のお中元ギフトにもご協力いただいた同店を取材しました。
青い扉を開くと、こぢんまりとした店内にはカラフルなキャンディーや焼き菓子が並び、おもちゃ箱のような楽しさです。厨房から笑顔で出迎えてくださったのは、オーナーパティシエの福山綾さん。
福岡にある製菓調理専門学校でお菓子作りを学んだ後、大手菓子メーカーへ就職。さらに腕を磨くべく個人経営のケーキ店さんへと転職して経験を積みました。いつかは地元に帰って自分の店を開きたいと考えていた綾さんは、その夢を叶えるべく熊本でキャンディー専門店をオープン。ところがオープンから一年後、熊本地震によってお店が半壊。ちょうど同じタイミングで妊娠していることが分かり、しばらくお店を閉めることにしました。そして一年後の2017年、綾さんは生まれ故郷の西原村で新たに工房兼店舗を構え、再スタートを切りました。
『AmeYa』の工房兼ショップ(左)とカフェ。
ショップには手作りのキャンディーをはじめ、焼菓子などギフトにも喜ばれるスイーツがずらり。
2児のママでもあるオーナーパティシエの福山綾さん。綾さんの名前にちなんで『AmeYa』のAとYが大文字になっています。
もともとはキャンディーをはじめとする手作りスイーツの販売のみでしたが、やがて「せっかくならゆっくり食べて帰りたい」というお客様からの声が増えはじめ、その要望に応えたいと2021年、同じ敷地にカフェをオープン。
お菓子作り、販売、カフェの接客と、綾さんが切り盛りしていましたが、こども2人がまだ幼いこともあって、やがて心も体もいっぱいいっぱいに。そんなときに支えてくれたのが、ご主人の学さんでした。学さんは自身の仕事を辞めて綾さんを全面サポートしようと決意。販売先を新規開拓するために営業で外回りをしたり、SNSで情報を発信したりと、学さんの広報活動によって『AmeYa』の知名度は徐々に高まっていきました。その手腕からして販売促進の仕事をしていたのかと思いきや、実はまったくの素人だそう。「妻は根っからの菓子職人です。彼女が作るおいしいお菓子を一人でも多くの人に食べてもらいたい。その一心で、僕にできることがあればと動いてきました」と学さん。
「私は営業とか販路開拓とか苦手で。主人のおかげでお菓子作りに専念できるようになりました。じつは今回受賞した『肥後もっこすのうまかもんグランプリ2022』に応募してくれたのも主人なんです」と綾さん。最大の理解者であり、強力なサポーターとなってくれている学さんへの感謝がモチベーションへと繋がっています。
今回受賞した「シルクスイートチーズケーキ」は、西原村特産のさつま芋・シルクスイートのおいしさを多くの人に伝えたい」と開発した、こだわりの逸品です。
西原村で店を構えて6年が経ち、故郷に何か貢献したいと考えていた綾さん。そこで思いついたのが、特産品のシルクスイートを使ったスイーツを開発することでした。地元の人たちも加わって意見交換をするなか、シルクスイートの味を一番生かせそうとたどり着いたのが、チーズケーキです。
さっそく試作を重ねるものの、チーズケーキのなめらかな生地とホクホクしたお芋を一つにまとめるのは難しく、なかなか思うような食感が出せません。そんなとき「これなら使いやすいんじゃない?」と地元の人が持ってきてくれたのが、焼き芋にしたシルクスイートで作ったペーストでした。実際に試してみると、チーズケーキの生地と相性が良くて使いやすい。その後、何度も改良を重ねた結果、お芋とチーズの風味がお互いを引き立て合う、黄金比率がようやく完成。
「焼き芋のペーストを作ってもらっている『俵山交流館 萌の里』や西原村の方々に試食してもらって意見を聞いて。ようやく納得いく味にたどり着きました。地元の皆さんの協力があって完成したスイーツです」(綾さん)
オーブンで焼いた生地を冷蔵庫で一晩寝かせることで味がまとまり、深みのある味わいに
さっそく「シルクスイートチーズケーキ」を試食させてもらいました。一口頬張るとお芋の上品な香りと甘さが広がり、後からチーズの爽やかな酸味が現れます。滑らかな口当たりと、スゥッと溶けるような口どけの良さ。軽やかながら食べ応えがあり、甘さ控えめでどんどん食べられます。
お勧めの食べ方は、お芋の風味が引き立つよう軽く冷やした状態だそう。さらに生クリームやフルーツをデコレーションしたり、ケーキをカットしてアイスクリームや生クリームと一緒にクッキーで挟んだりとアレンジすれば、自分好みのオリジナルスイーツをお楽しみいただけます。
カフェでは季節のフルーツや生クリーム、アイスクリームをあしらい、提供されています。
2023年4月、広くて見晴らしのいい場所でお客様にくつろいでもらいたいと、ショップとカフェが綾さんの実家近くへ移転しました。これまでの場所は工房としてそのまま残し、綾さんがお菓子作りに専念できるようになりました。
今後は西原村の人たちと一緒に特産品を使ったスイーツを開発し、地元を盛り上げていきたいと語る綾さん。陰で支えるご主人の学さんは「本人にはなかなか言えませんが、菓子職人として高みを目指す姿を尊敬しています」と内緒で教えてくださいました。夫婦二人三脚で力を合わせて「安全・安心でおいしいお菓子を届けたい」という夢は、始まったばかりです。
鶴屋限定で用意していただいたのは、こだわりのチーズケーキ2種類のセット。「シルクスイートチーズケーキ」は、滑らかな口当たりと上品な甘さを持つシルクスイートの焼き芋を冷凍保存することで味を熟成。糖度と滑らかさが増した焼き芋ペーストに北海道産のサワークリームやクリームチーズ、バターなどの良質な原材料のみを厳選してブレンドし、オーブンでしっとり焼き上げました。一口頬張ると口いっぱいに程よいチーズの酸味が広がり、後からお芋の香りとほっこりした甘味がやって来る、相性抜群の味わい。こちらの商品とご一緒にもう一つ、爽やかな酸味が広がり軽やかでありつつ食べ応えのある「プレーンチーズケーキ」を、いずれも食べやすいハーフサイズ各2個・4個セットでお届けします。
■ 5,000円(税込)(100セット限定)
ご購入はこちらからくまもとで育まれた素材をもとに、人気の名店が創意工夫した冬の贈りものを、鶴屋限定でご用意しました。(2022年冬に取材)
記事を読む
鶴屋はふるさと熊本に育まれ、親しまれて70年。これからも大切なあの方とのご縁を結びます。(2022年夏に取材)
記事を読む
造り手の思いが詰まった日本酒、焼酎、ワインたち。造り手がおすすめするとっておきの飲み方を、食事とのマッチングとともにご紹介します。(2021年夏に取材)
記事を読む
ふるさと・熊本の気候風土や作り手の想いが詰まった「食」に注目。「くまもとの味、探訪」、5週限定連載でお届けします!(2021年夏に取材)
記事を読む
熊本でがんばる人たちの、ものづくりへの熱い思いと素敵な商品をご紹介します。「熊本のことが、もっと好きなる」。そんな物語がここに集まっています。(2018年〜2019年に取材)
記事を読む
熊本地震で被災された生産者の皆さまを取材。そこには「熊本で育まれ、受け継いできた商品を、お客さまの元へ届けたい」という切なる想いがありました。(2016年夏〜秋に取材)
記事を読む