Vol.1
アントルメ菓樹
親しみやすいスイーツを。⼦どもも⼤⼈も笑顔になる「町のお菓⼦屋さん」
「夏のごちそう」をテーマにした2025年の鶴屋お中元ギフトでは、熊本で⼈気のパティスリー『アントルメ菓樹』にオリジナルギフトの開発を依頼しました。誕⽣したのは、熊本素材がきわ⽴つ4種のスイーツ。気になる特⻑とは? そして3代にわたり熊本でお菓⼦づくりを続ける同店の思いとは? これらを探るべく現場を訪れました。
おもちゃ箱のようにワクワクする空間
市電「健軍電停前」沿いの熊本⾼森線を⾞で⾛ること2分。新緑に覆われた建物が⾒えてきました。開店前の平⽇朝にもかかわらず、広い駐⾞場にはお客さまの⾞が早くも待機し、オープンと同時に年配の⼥性や作業服姿の男性といったさまざまな⽅々が⼿⼟産を求めていました。ログハウスのように⾼い天井が板⽊で覆われた店内は開放感たっぷりで、季節ごとに変わるディスプレーも楽しみの⼀つ。季節のフルーツを使ったスイーツがショーケースを飾り、⽢い⾹りが店内を包みます。
話をおうかがいしたのは、厨房で指揮を執るチーフパティシエの新居隆嗣さん。『アントルメ菓樹』を創業した柴⽥博信さんのお菓⼦づくりに対する熱意を受け継ぎ、スタッフたちをまとめています。
そんな新居さんが他部⾨のチーフ3⼈とともに開発した鶴屋お中元ギフトは、熊本素材を⽣かした冷たいデザート4種のアソートです。
熊本素材がきわ⽴つ4つの冷たいスイーツ
まず⼀つめは、熊本⽣まれのブランドイチゴ「ゆうべに」を使ったムースとゼリーのハーモニーが楽しい「ゆうべにデュオ」。フランボワーズやレモンの酸味がアクセントとなり、夏の暑さを爽やかに吹き⾶ばしてくれそうです。
続いて「肥後栗抹茶デュオ」は、⽇本有数の茶処である福岡県星野村の抹茶を練り込んだゼリーとムースから広がる芳⾹と、熊本ブランド・⼭江栗の渋⽪煮の⽢さがぜいたくな味。お茶本来の⾵味がありつつ独特の渋みは控えめなので、お⼦さんでも⾷べやすい味わいです。そして3つめは、⼿搾りした天草レモンのゼリーとメレンゲを使ったシブーストで軽やかに仕上げた「フロマージュデュオ」。のど越しの良いゼリーとなめらかな⼝当たりのシブーストで表現した天草レモンの爽やかな味わいをお楽しみいただけます。
最後は、さっぱりとした⼝当たりの「フルーツゼリーデュオ」。夏にお店でも⼈気の杏仁⾖腐の上にコアントローでオレンジの⾵味をつけたゼリーを流し込み、フルーツをトッピング。⾒た⽬も味わいもカラフルに仕上がりました。
バラエティに富んだ4つの個性がきわ⽴つスイーツは、いずれもゼラチンの代わりに寒天を使⽤することで暑い⽇でも⾷感をしっかりとキープ。解凍して2 時間ほどで⾷べ頃となりますが、半解凍のままシャーベット感覚でいただくのもおすすめです。やや⼤きめのカップに⼊っているので、家族でシェアしながら⾷べ⽐べするのも楽しそう。
昔も今も変わらない、
家族で楽しめるお菓⼦づくり
今回のスイーツを開発するのにあたって新居さんが⼼掛けたのは「お⼦さんから年配の⽅々まで楽しんでいただけるよう軽やかな味わいにしたこと。また⽕⼊れを最⼩限にとどめて素材のフレッシュな⾹りや味わいを感じられるスイーツに仕上げました」。着⾊料など余計なものは使わず、素材の持ち味を引き出す。『アントルメ菓樹』が守り続けるお菓⼦づくりの流儀が今回の「熊本の恵みアソート」にも⽣かされています。
こうしてどの年代にも⾷べやすい、優しいお菓⼦づくりを⼼掛けてきた『アントルメ菓樹』。その成り⽴ちは1991年、神⼾などでフランス菓⼦修業を積んだ柴⽥博信さんが⽗親から受け継いだ和洋菓⼦店を洋菓⼦専⾨へと絞り、新たなスタートを切りました。
⽣粋の職⼈として30年間休みなく厨房へ⽴ち続けた柴⽥会⻑ですが、数年前に社⻑職を退き会⻑へ。そして3代⽬の社⻑となったのが息⼦の悠貴さんです。国内外を⾶び回ってはスイーツ業界の情報収集やパイプづくりに努め、消費者のニーズを商品づくりに⽣かすことで『アントルメ菓樹』のさらなる⾶躍を⽬指しています。「3代⽬は店の外で得た知⾒や消費者⽬線をもとに『こんなスイーツは作れないだろうか』と提案してくださいます。厨房の中では得られないトレンドや情報をもらえてありがたいです」(新居さん)
「喜びを分かち合えるお菓⼦」をこれからも
店内をふと⾒上げると、こんな⾔葉を記した⼤きなボードが掲げられていました。
〜⼤きな樹⽊の下で⼼豊かに語り合っていただける⽊陰を提供し続けることが、私たちの役割だと思います。〜
店名の『菓樹』に託した思い。それは「喜びを分かち合えるお菓⼦」を作り続けること。
「会⻑が先代から店を受け継いだときに店名へ込めた思いがブレないよう、ボードの⾔葉を⼼に留めています。⼤きな樹の下でみんなが集い、菓樹のケーキを⾷べながら幸せを分かち合う。それは作り⼿の私たちにとっても幸せなことです」と新居さん。カッコ良さより親しみやすさを。⼀過性ではなく⻑く愛されるお菓⼦を。季節ごとに⽢いお菓⼦を実らせる⼤きな樹⽊は、これからもたくさんの笑顔を⾒守りながら成⻑していくでしょう。