
鶴屋の本館地下1階に直営店を構える「阿蘇の逸品」。このブランドを展開している『株式会社 阿蘇ナチュラル・ジェイファーム』による協力のもと、熊本のシンボルカラーである「赤(あか)」の熊本県産食材を使った限定ギフトを開発。食べれば南阿蘇の風景が思い浮かぶような郷土愛に満ちたギフトの商品開発やブランドへの思いについて、話をお聞きしました。
『阿蘇ナチュラル・ジェイファーム』では「世界に認められるハムやソーセージをつくりたい」という志のもと、南阿蘇村を拠点に九州・熊本を中心に厳選した原料を使い、ドイツマイスターの伝統製法による食肉加工品を製造。本場ドイツのコンテストで数々の金メダルを受賞し、「阿蘇の逸品」シリーズのハムやベーコン、ソーセージを詰め合わせたセットは鶴屋の贈答用ギフトとしても好評を得ています。
訪れた南阿蘇の本社は、広々とした高原地帯に工場と2つのレストランを構え、視界の先には外輪山が広がる風光明媚な立地にあります。到着すると、今回の商品開発に携わった皆さんが出迎えてくださいました。
鶴屋のお歳暮限定ギフトとして誕生したのは2つのギフトセットで、1つは「純熊本県産馬刺しのビール煮」と「純熊本県産炙り馬刺し」、「熊本県産あか牛の炙りロースト」のセット。もう1つは「熊本県産あか牛のトマト煮」と「熊本県産あか牛の特製ビーフシチュー」のセットです。
一番のこだわりは、なんといってもくまもとの「あか」にちなんだ食材を使っていること。以前から扱っている熊本県産あか牛に加えて、今回新たに採用したのが「純熊本県産」の馬肉です。馬肉は需要の高まりに対して供給が追いついていないことから、スーパーなどで並んでいる商品の多くはカナダ産。国内産というだけでも希少ですが、長年付き合いのある古閑牧場から直接仕入れることで熊本県産を確保できました。
(右から)販売部統括の秀島新さん、取締役の森孝臣さんと光原寿一さん、鶴屋食料品部の佐村
「もともとレストランで提供していた人気メニューにあか牛のビール煮があり、それを馬肉でアレンジしたものが『純熊本県産馬刺しのビール煮』です。お刺身で食べてもおいしい馬刺しを使ってみたところ、想像以上においしくて。馬肉はクセがなくて高タンパク質、コラーゲン豊富なので体にも良いですし」と、取締役の森孝臣さん。
こだわりや隠し味について聞こうとすると「まずは食べてみてください」とのことで、さっそく試食させてもらいました。
テーブルにずらりと並んだお皿から広がる香りが、食欲をそそります。
まず、いただいたのは「純熊本県産馬刺しのビール煮」。コラーゲン豊富なゼラチン質を含む新鮮な馬肉を、長年継ぎ足したブイヨン入りのソースで煮込んだ馬肉は、口の中でホロホロとほどけるほど柔らか。とろみや食感、うま味のバランスが取れたまろやかな味わいながらもグリーンペッパーのほのかな刺激がアクセントとなっています。
続いて試食したのは「熊本県産あか牛のトマト煮」。あか牛を1頭買いすることでヒレ肉やサーロイン、モモ、肩、バラなど多彩な部位をぜいたくに使用。異なる食感やうま味が味わいに深みを与え、熊本県産トマトが相乗効果となっておいしさを増幅させています。優しい酸味と甘さは、年齢を問わず親しみやすい味わい。
「ご家庭でアレンジしていただけるよう、やや濃いめに味付けしています」(秀島さん)
「パンと合わせたり、パスタソースとして使ったり。煮豆を加えてポークビーンズにアレンジしていただくのもおいしいと思います」
表面を高温で一気に炙ってレアな食感やうま味を封じ込めた「純熊本県産炙り馬刺し」と「熊本県産あか牛の炙りロースト」は、食べ比べてみると違いが歴然。炙り馬刺しはおろしニンニクと独自にブレンドした特製の塩コショウで味付けしてあるので、切ってそのままお酒の肴やオードブルに。あか牛の炙りローストは肉そのものの味わいを楽しめるので、温野菜やサラダに添えてお好みの薬味やソースでアレンジしていただくのも良さそうです。
そして最後にいただいたのは、すでに鶴屋ギフトの人気商品として定着している「熊本県産あか牛の特製ビーフシチュー」。野菜が溶けてなくなるまでじっくりと煮込まれ、ゴロッと存在感のある肉もスプーンで崩れるほど。デミグラスソースの奥深い味わいは高級感があり、一皿で満足感のあるボリュームです。
取材の様子を離れたところから見守っていた創業者の森光臣さん。「現場で活躍してくれているスタッフたちを紹介してほしい」と写真撮影は遠慮されたものの、せっかくなので創業の経緯をお聞きしました。
森社長が故郷の阿蘇で独立したのは33歳のこと。熊本の畜産をいかしたソーセージづくりをしようとドイツ人のもとで厳しい修業を積み、そこで学んだのは「本物を作るためには妥協しない」という精神でした。そして「本物を追求し、後世に残していける商品を作りたい」との願いを込めて立ち上げたのが、食肉加工品ブランド「阿蘇の逸品」です。
厳選した原料肉や調味料とドイツの伝統製法により、手間ひまをかけて自然本来のおいしさを追求。その思いは南阿蘇村に本社工場とレストランを建設する際にも反映され、「機能性だけでなく“作品”にしてほしい」とオーストリア人建築家による指揮のもと、建材や家具をヨーロッパから船便で取り寄せてドイツの伝統建築を忠実に再現。2016年の熊本地震ではほとんど損害を被りませんでした。
そんな父親の背中を見て育った孝臣さんは、本場のドイツで食肉加工技術を学ぼうと本場ドイツのマイスター学校へ行くことを志願。食品衛生の法律などを学び、試験もすべてドイツ語という難関の国家資格を見事にクリアし、本場の技術とマイスター精神を携えて帰国。そのこだわりは全スタッフに共有され、結果としてDLG(ドイツ農業協会)で11回連続金メダルを受賞(2023年時点)するほか、世界のコンテストで受賞を重ねるなど高く評価されています。
『阿蘇ナチュラル・ジェイファーム』が拠点とし、世界農業遺産に認定されている阿蘇。世界有数の規模を誇るカルデラの大草原に放牧されたあか牛が草をはむ姿は、阿蘇の象徴的な風景となっています。
千年以上もの間、野焼きや放牧を繰り返すことで多様な農業と希少な動植物、農耕文化の繁栄をもたらしてきた悠久の営み。500年以上の歴史を紡ぐドイツのソーセージ作りもまた、人々によってその伝統が脈々と受け継がれてきたという共通点があります。
「人生100年時代といわれる今、『ヘルシーでおいしいものを』との需要が高まり、ヘルシー、ジューシー、ナチュラルの3拍子そろうあか牛や馬肉が脚光を浴びています。結局、本物しか残っていかないと思いますから、これからも愚直に本物志向の製品づくりを守っていきます」(森代表)
これまでソーセージやハムづくりを中心にしてきた同社が惣菜にも取り組み始めたのは、コロナ禍による生活様式の変化がキッカケでした。これからも時代の変化に合わせながら、「阿蘇の逸品」の名にふさわしい本物の味と品質を追求しています。
南阿蘇を拠点にこだわりの食肉加工品を手がける『阿蘇ナチュラル・ジェイファーム』。人気シリーズ「阿蘇の逸品」から、熊本県産の馬肉やあか牛を使った鶴屋限定ギフトが誕生しました。パスタなどに幅広くアレンジできる「純熊本県産あか牛のトマト煮」や 、ゼラチン質がとけ込む優しい味わいの「純熊本県産馬刺しのビール煮」、定番人気の「あか牛の特製ビーフシチュー」、オードブルにうれしいあか牛と馬刺しの炙りなど。九州・熊本の厳選した素材とていねいな製法にこだわったぜいたくな一皿を、温めるだけ、切るだけで手軽にお楽しみいただけます。
■ ASO-50・ 5,400円(税込)(200セット限定)
■ ASO-100・ 10,800円(税込)(100セット限定)
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