Vol.2 アントルメ菓樹

おもちゃ箱のようにワクワク!
喜びを分かち合えるスイーツを

健軍電停前から熊本高森線を車で2分ほど東へ走ると、木々に覆われた森のような建物が見えてきます。到着したのは『アントルメ菓樹』。熊本を代表するパティスリーとしてスイーツ好きな熊本県民のあいだでは知られる存在です。そんな同店に、熊本の食を象徴するカラー「あか」にちなんだ鶴屋限定スイーツを依頼。「冬にこそ味わってもらいたいスイーツ」が完成したとのことで、話をうかがいました。

熊本ブランド「ゆうべに」を使ったソルベとジェラート

開放感のある店内は高い天井が板木で覆われ、大きなログハウスのよう。季節ごとに変わるディスプレーも楽しみの一つで、訪れた日は紅葉を思わせる秋の彩りとなっていました。ナシやメロンといった季節のフルーツをまるごと使ったスイーツがショーケースを飾り、甘い香りを吸い込みながら幸せな気分に包まれます。

出迎えてくださったのは、チーフパティシエの新居隆嗣さん。会長・柴田博信さんの菓子づくりに対する熱意を受け継ぎ、現場で中心となって指揮をとっています。そんな新居さんが、ともに商品開発に携わる他部門のチーフ3人とともに今回開発したのは、熊本生まれのブランドイチゴ「ゆうべに」を使ったソルベとジェラート。冬の贈答ギフトに冷たいスイーツですか? と尋ねたところ「寒い日に暖かい暖房の中で味わうアイスってぜいたくじゃないですか?」と返されなるほど、納得。さっそく試食させてもらいました。

イチゴが濃厚!なめらかな口どけとすっきりした後味

お店の外へ出て、裏手に隣接する建物へ。昨年、完成したばかりのジェラートづくり専用のアトリエです。扉や窓にアンティークな部材を組み合わせた造りに温かさを感じます。

真新しい機材が並ぶ厨房の保冷庫から出してもらった新作を味わってみると…。「一番こだわったのは、口どけの良さとすっきりした後味です」との言葉通り、まず驚いたのが口どけです。市販されているソルベやジェラートの多くは冷凍庫から取り出してすぐだとカチカチに凍っているイメージ。ですが、菓樹が作ったものは室温で溶かさなくてもスプーンがすぅっと入り、口に含むと舌の上を滑るように溶けていきました。シルキーな口どけとともにイチゴの凝縮した甘酸っぱさが口いっぱいに広がり、イチゴ好きにはたまらない、ぜいたくな味わいです。

2つを食べ比べてみると、ソルベは口当たりがさっぱりとしてイチゴが濃く、ジェラートは阿蘇のジャージー牛乳を使っているぶん濃厚でクリーミー。香料を使わないことですっきりした後味に仕上げています。「安価な市販のアイスは香料などで風味づけをする場合がありますが、菓樹ではピューレ状にした果肉を混ぜ込むことでイチゴ本来の風味を引き出しています」と新居さん。さらに糖の吸収を緩やかにするとされる水溶性食物繊維のイヌリンを使用。おいしさはもちろん体にも良いとは、うれしい限りです。

3代目社長の新たな知見をスイーツづくりに反映

自然がもたらす素材の滋味を生かした優しいお菓子、小さいお子さんからご年配まで誰もが食べやすいスイーツづくりを心掛けている『アントルメ菓樹』。その成り立ちは、柴田会長の父が営む和洋菓子店『松月堂』を受け継ぎ、1991年に洋菓子専門店として新たな歩みが始まりました。

福岡と神戸でフランス菓子を学び、生粋のスイーツ職人として30年間休みなく厨房へ立ち続けた柴田会長。数年前に社長職を退き、後を継いで3代目の社長となったのが、息子の悠貴さんです。国内外を飛び回ってはスイーツ業界の情報収集やパイプづくりに努め、消費者のニーズを商品づくりに生かすことで『アントルメ菓樹』のさらなる飛躍を目指しています。

「3代目はアグレッシブに外へ出て、得てきた知見や消費者目線をもとに『こんなスイーツを作ってほしい』とリクエストしてくださいます。厨房の中だけでは得られないトレンドや情報を得られるので、すごくありがたいです」(新居さん)

例えば、年間を通して気候が温かい東南アジアでは、砂糖を控えめでフルーツの素材を生かしたスイーツが好まれるそう。そうした国々の人たちの嗜好と甘さ控えめなお菓子を得意としてきた菓樹は相性が良いことから「一緒に海外で展開しましょう」というアプローチも多いといいます。

変わらない思いとブラッシュアップ

「時代に合わせてブラッシュアップしていくのは当たり前です」と語る新居さん。今年の夏からレシピを変えた生クリームは、脂肪分を減らして軽さを持たせつつ、よりミルク感をアップさせました。熊本も温暖化になっていくことを見据えて、暑い日に食べても口当たりが重たくならないようにとの工夫です。

最後に『アントルメ菓樹』が目指す今後について尋ねると「上の方を見てください」と新居さん。店内を見上げると、そこには店名に託した思いが記されていました。

〜大きな樹木の下で心豊かに語り合っていただける木陰を提供し続けることが、私たちの役割だと思います。〜

「会長が先代から受け継いだとき、コンセプトとして掲げた『喜びの分かち合い』。そこだけは絶対にブレてはいけないと思っています。大樹の下にみんなが集い、菓樹のケーキを食べながら幸せを分かち合う。それは作り手である私たちにとっても幸せなことです」。そう語る新居さんは神戸の名店パティスリーから転職して8年。柴田会長と同じく職人気質で、本格派の味を追求しながら親しみやすさを大切にしている『アントルメ菓樹』が大好きだと語ってくださいました。

Information

アントルメ菓樹

くまもとの「あか」にちなんで開発した鶴屋限定のソルベとジェラートのセット。いずれも熊本オリジナル品種のイチゴ「ゆうべに」を使い、ソルベは冷凍庫から出してすぐにスプーンが入るほどなめらか。ぎゅっと凝縮した果実味をお楽しみいただけます。一方のジェラートは、熊本県産ジャージー牛乳の濃厚なコクがありつつ、甘さが後を引かない爽やかな後味。熊本県産イチゴから誕生したひんやりデザートを暖房の効いたお部屋でお楽しみください。

ゆうべに苺みるくジェラート(6個入)

■ 3,900円(税込) ■ 荷造総重量1.2kg

ご購入はこちらから
ゆうべに苺ソルベ(6個入)

■ 3,900円(税込) ■ 荷造総重量1.2kg

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ふろらんたん(20個入)

■ 3,960円(税込) ■ 荷造総重量1.5kg
■ 賞味期限:製造日より常温で20日

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