
※掲載価格は、旧税率で表示しております。
舗装されていないデコボコの林道を、軽トラックでぐんぐん進んで山の中へ…。「両親が山を拓いて造ってくれた道です。この先に、ニンニクを育てているビニールハウスがあります」と話す井(い)正恵さん。20歳で就農した、現在36歳の若手農家です。
井さんが暮らす南小国町は、東に九重連山、南に阿蘇外輪山を望む自然豊かな地域。取材した6月中旬は、梅雨入りを前に熊本市内はすでに蒸し暑い時期ですが、標高700mほどの場所にある農地にはすがすがしい冷涼な空気が漂っていました。井さんはこの自然豊かな町で、海外進出とギネスブック登録という夢を抱いて巨大なニンニク「おぐにんにく」を栽培しています。
「おぐにんにく」とは、ジャンボニンニク≠フこと。品種はアメリカ原産のエレファントガーリックといいます。実家を継いで両親とともにホウレンソウやシイタケ、コメを栽培する農家だった井さんは、就農して6年ほど経った2006年に「自分だけの何か≠育てたい!」と一念発起しました。
地元の温泉街の朝市で野菜を対面販売していた当時、お客さんから特産品を尋ねられて「シイタケやホウレンソウ」と答えてもリアクションが薄かった経験もあって、「インパクトのある農産物」を探します。そこで出合ったのが、エレファントガーリックでした。
「まず、見た目のインパクトが絶大。加えて栽培にあまり手間がかからないため、ホウレンソウやコメと並行して育てられるところに魅力を感じました」。井さんは早速、種苗会社を通じてエレファントガーリックの種(りん片)をアメリカから取り寄せ、栽培を開始します。
エレファントガーリックの見た目はニンニクそのものですが、実は、西洋ネギの一種。効能もニンニクに近いといわれるものの、一般のニンニクと比べると香りは穏やか。ニンニク特有の食後の臭いもかなり抑えられていて、甘味の強さも特長です。
ニンニクの有名な産地といえば青森県ですが、「南小国町の気候は東北に似ています」と井さん。冬はしっかりと冷え込み、春先は暖かく、「おぐにんにく」の栽培に適しているそうです。井さんは収穫した球根の中から大ぶりのものだけを選抜しながら、自家採種を続けてサイズを安定させ、2008年頃から乾燥前の状態で1玉(6〜10片)450g以上のものを「おぐにんにく」と名付けて販売するようになりました。
「おぐにんにく」は9月に植え付けて、収穫できるのは翌年の6月。追肥や除草以外はほとんど作業が必要なく、待つ≠フが井さんの仕事。土の中で約9カ月かけてゆっくり育って、1片が通常のニンニク1玉ほどの大きさまで成長します。そこから規格をクリアしたものだけが「おぐにんにく」に選ばれ、1カ月がかりで乾燥室でじっくり乾かして8月から販売します。
井さんは現在40aの農地で「おぐにんにく」を育てており、栽培期間中に農薬は使っていません。肥料の9割は堆肥で、除草には白ヤギのシロちゃんの力を借りて薬剤は不使用。さらに、乳酸菌を豊富に含む竹パウダーで土壌改良するなど、農産物の安全・安心にも配慮しています。
「たくさんの人におぐにんにくを見てビックリしてもらいたい。そして、食べて元気になってほしい」。井さんはそんな思いから、7色の「レインボーおぐにんにく」の開発に着手したり、香港のハロウィン商戦でおばけニンニク≠ニして「おぐにんにく」を自ら販売するなど、さまざまな挑戦を続けています。
2017年からは、小型自動販売機で「おぐにんにく」の種を販売する新しい試み『おぐにんにくガチャ』をスタート。投入口に硬貨を入れてレバーを回すと、カプセルに入った種が出てくる仕組みで、出てきた種は井さんが農場に植え付けて栽培してくれます。
生育状況はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のFacebookで報告され、6月には収穫時の重量でランキングを発表。上位入賞者には賞状が贈られ、さらに、ギネス記録を更新するサイズのものがあればギネスブックに登録申請されます。
今年収穫した最大のおぐにんにくは、何と重さ880g! ギネス更新は果たせなかったものの、井さんは手応えを感じています。「おぐにんにくガチャを通じて、ジャンボニンニクや小国町、農業に興味を持ってもらいたい」との思いが込められたユニークな取り組みです。
「おぐにんにく」は南小国町や熊本市内の飲食店で、バーニャカウダソースやフライなどに使われています。味の良さはもちろん、大粒なので皮をむいたり、芯を取り除いたりといった下ごしらえの手間が少なくて済む点も、プロの料理人に喜ばれている理由です。
井さんのイチオシは「おでん」。天ぷらもおすすめだとか。食べ応えのあるサイズで、料理の主役になれる食材なのです。
また、「家庭で食べるなら、ぜひカレーの具として試してください」とも。加熱するとさらに臭いがやわらぎ、ジャガイモに似たホクホクに仕上がります。これからの季節は、バーベキューで丸ごとアルミホイルに包んで網焼きすると、場の雰囲気も盛り上がりそうですね。
また、見た目のインパクトを生かした筒状のプラスチック製パッケージは贈答にも向きます。県外の方への手みやげにもおすすめです。
ジャガイモに似た食感を生かして、ポテトサラダにするのもおすすめです。作り方は簡単。まず、鍋に皮をむいて4等分したジャガイモと、縦に2等分した「おぐにんにく」を入れ、ひたひたになるまで水を注いで茹でます。竹串がすっと通るくらいの柔らかさになったら、マヨネーズで和え、塩とこしょうで味を調えます。パプリカやキュウリといった夏野菜を刻んで加えるとヘルシーに、みじん切りにしたアンチョビを加えるとビールによく合う味に仕上がります。たっぷり使っても香りが穏やかで、胸やけしにくいのが「おぐにんにく」の良いところ。ジャガイモと「おぐにんにく」の比率は2:1くらいが適当です。
真っ赤に熟した旬のトマトと「おぐにんにく」で、スープも作ってみましょう。皮をむいて縦に2等分した「おぐにんにく」を下茹でして、ザルにあげておきます。厚手の鍋にオリーブオイルと薄切りにしたタマネギ、食べやすい大きさに切ったベーコンを入れて炒め、タマネギが透明になったら缶詰のホールトマトを潰しながら加えます。下茹でしておいた「おぐにんにく」を入れて、水を少しずつ加え、混ぜながら煮ます。全体がなじんだら塩としょうゆで味を調えてでき上がり。器に盛り、パルミジャーノを削りかけてください。「おぐにんにく」の大きさを生かして、スープの具のひとつとして食べましょう。水の量を少なくして濃いめに仕上げて、バゲットを添えたり、茹でたペンネに絡めるとランチにぴったりの一品に。
その他、カマンベールチーズとアヒージョにしたり、スライスして揚げて塩をふってチップスにしたりと、さまざまな料理に活用できます。また、「おぐにんにく」は加熱するとさらに臭いがやわらぐので、下茹ですることでバリエーションがぐっと広がります。特に、「ニンニクが好きだけど臭いが気になる」という方に試していただきたい食材です。
1982年生まれ。2002年に実家を継いで就農し、2006年からエレファントガーリックの栽培に着手。両親とともにホウレンソウやシイタケを育てるかたわら、一人でジャンボニンニク「おぐにんにく」を生産しています。現在、40aのビニールハウスと畑で20tを収穫。販路拡大と収穫量の増加、「おぐにんにく」の認知度向上を目指して奮闘中です。
大振りなジャンボニンニクの中でも450g以上(収穫時)のものだけを「おぐにんにく」と名付けて販売。ギフト用のパッケージ入りなので、贈答用にも最適です。
■3,240円(税込)【限定100玉】
内容量:1玉
※収穫後、乾燥させてのお届けとなるため、重量には若干個体差がございます。
※ギフト用パッケージでお届けします。
今シーズンの承りは終了いたしました
※入荷の状況により、発送までに7〜10日ほど時間がかかる場合がございます。