Vol.8 きよたファーム

きよたファームの皆さんの画像

皮との境目まで実が甘い!
工夫の積み重ねが実を結ぶ
真っ赤に熟した初夏の味覚

栽培歴約50年のスイカのベテラン

熊本市と玉名郡玉東町の境にある半高山(はんこうやま)。隣接する吉次峠とともに、田原坂と並ぶ西南戦争の激戦地です。3月中旬、かつては激しく銃弾が飛び交ったこの地から見下ろす農地は、早春の陽光に照らされてとてものどか。きよたファーム代表の清田啓治(けいじ)さんが「今、スイカの定植作業をしています」とずらりと並ぶビニールハウスを指して教えてくれました。

清田さんは71歳。昭和41年に実家を継いで就農し、現在は妻の弘子さんと、5人のお子さんのうち、長男の崇嗣(たかし)さん、三女のれいかさんと一緒に家族で農園を営んでいます。スイカの栽培歴は約50年というベテランで、その味には定評があります。約30年前から契約栽培を始め、当時から鶴屋でも吉次峠スイカ≠フ名で販売。今ではリピーターのお客様も多くいる人気のスイカです。

スイカを栽培するビニールハウスの画像

6反の土地に並ぶスイカを栽培するビニールハウス

試行錯誤を重ねて土の弱点を克服

きよたファームは主にミカンの栽培を行なっていましたが、昭和40年初めの寒波襲来で木が枯死したことをきっかけに、スイカの栽培も始めました。おいしいスイカを育てるためには、水はけのよい土と十分な日照時間、朝晩の温度差が必要といわれます。

圃(ほ)場は標高200mほどですが、昼と夜との寒暖差が大きい一方、みかんの栽培が行われていたというだけあって日当りもよく、スイカの栽培には適した環境にありました。しかし、「半高山付近一帯は粘土質の赤土。栄養豊富で水はけが良いのがメリットですが、雨が降るとベタついて、乾燥するとコチコチに固まってしまうというデメリットもあります」と清田さん。

固い土では実がなかなか大きく育ちません。そこで清田さんは、スイカの名産地である植木町の農家に指示を仰いだり、近隣の農家と相談するなどして課題の解決法を模索。土を深さ40cmまで深く耕して赤土特有の湿害を防ぐことで、コクのある甘さの大玉スイカを育てることに成功しました。

スイカ栽培は苗半作≠ニ言われ、良質な苗を作ることがおいしい実を育てるための必須条件と考えられています。苗は業者から仕入れることもできますが、清田さんは毎年約1万2000株の苗を自ら育てています。定植間近の苗を見せてもらうと、ポット内に白根がびっしりと伸びています。茎にはピンと張りがあり、濃い緑色の葉は厚みがあります。

見るからに元気いっぱいの苗を手に、「2〜3年かけて完熟させた牛糞と赤土を混ぜたオリジナルの自家製苗土を使っているのがポイントです。畑に定植するとすぐに根を張り、ぐんぐん育ちますよ」と清田さんは誇らしそうに話してくれました。

清田さんが丹精込めて育てた苗の画像

定植を待つスイカの苗。葉、茎ともに張りがあり、見るからに健康そのもの!

定植するとぐんぐん育つ苗の画像

ポットを外すとびっしりと伸びた白根が。毎年3月15日前後に定植作業が行われています

スイカの花の命は一日限り

苗は、葉が4〜5枚まで育ったら6本ほど伸びた芽を3本に減らして、ビニールハウス内の畝に植え付けていきます。定植したばかりという苗が育つハウスに入ると、まるで初夏のような暖かさ。ボイラーは焚かずに、ビニールを三重にすることでハウス内の温度を30度前後まで高めているそうです。

ツルの長さが15〜20cmまで成長したら枝を整理し、花が咲いたら雄しべを摘んで手作業で雌しべに交配させていきます。「スイカの花の命は一日限りなんです」と清田さん。曇天や気温の低い日は動きが鈍くなるミツバチに交配を任せられるのは気候が安定する4月中旬以降。それまでは人の手で確実に受粉させていきます。

交配の2日後くらいには花の下がぷっくりと膨らみ、スイカが結実します。人差し指の先ほどの小さなサイズですが、よく見るとスイカのアイデンティティーともいえる縦縞模様がうっすらと入っています。それから50日前後かけて成長させ、5月10日頃から収穫が始まります。

スイカ作り50年の清田啓治さんの画像

スイカ作りを初めて約50年というベテランですが、新しい堆肥づくりに取り組むなど、挑戦の日々が続いています

ひと花ずつ手作業で受粉させる交配作業の画像

腰を曲げてひと花ずつ手作業で受粉させていく交配作業は、なかなかの重労働です

1株に1玉で生育させるスイカの画像

きよたファームでは出荷するスイカの味と大きさの均一のために、1株につき1玉のみ収穫します

みずみずしさあふれるスイカの画像

糖度12度と甘みが強く、たっぷりの果汁が初夏の喉を潤してくれます

収穫直後に出荷する新鮮なスイカ

収穫したスイカは、清田さん自身が1つ1つ選果していきます。ポイントは、実の見た目と叩いた時の音。「カットして中身を確認するわけにはいかないので、神経を集中させて確認します」と清田さん。形が少しだけいびつで、叩いた時にボン、ボンとにぶくて低い音を響かたらおいしいサイン。収穫、選果後は、すぐに出荷するため、収穫の翌日か翌々日には、店頭に並びます。鮮度は抜群なのです。

水を極力与えずに育てたきよたファームのスイカは、実と皮の境目ギリギリまでしっかりと濃い甘みがあり、品のあるみずみずしい香り、シャリッとした軽妙な歯触りが特長です。清田さんは、毎日2トントラック2台分の実を収穫し、年間約1万玉を出荷します。そのうち、重量が7kg以上のものだけが吉次峠スイカ≠フ名で鶴屋で販売されます。

「完熟したものだけを出荷しているので、なるべく早く食べてほしい」と清田さん。続けて「毎年楽しみにしてくださるお客様が大勢いるので、絶対においしいスイカを届けようと家族で頑張っています。苗作りから生育、収穫、選果まで責任を持って行っている自信作です!」と晴れやかな笑顔で話してくれました。

収穫の時を迎えた吉次峠スイカの画像

「農業は一生勉強」と話す清田さん。最高のスイカ≠追究し続けています

文=三星舞/写真=坂本和代

Information

画像:きよたファーム

きよたファーム

二代目の清田啓治さん、長男で三代目の崇嗣さんを中心に、家族4人と2人のスタッフで圃場を管理。1町5反のビニールハウスでスイカを、3町5反の段々畑で温州ミカンを栽培しています。スイカのハウスは複数の場所にあり、それぞれの土地の特性に合わせて栽培方法を微妙に変えています。また、来年度のスイカ栽培に向けて、きのこ類を育てた菌床に牛糞やもみがらを混ぜて作った堆肥を作るなど、絶えず工夫を重ねています。

画像:きよたファームの大玉スイカ「吉次峠スイカ」

きよたファームの大玉スイカ「吉次峠スイカ」

糖度12度以上、重量は7kg以上。皮目ギリギリまで甘く、シャリシャリとした食感が特長です。皮に包丁を入れた瞬間にみずみずしい香りが匂い立ち、果汁が滴るほどジューシー。ひと口かじるとコクのある濃い甘みが口いっぱいに広がります。苗の土作りからこだわり、選果・出荷まで生産者が自ら行った、スイカ作りのベテランの自信作≠ナす。

■1玉(直径約30cm) 5,400円(税込)
※進物箱入り(1玉・直径約30cm)5,616円(税込)

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