Vol.2
ricca
山鹿の里山が育む、至福の涼。
三兄弟の絆が紡ぐ『ricca』のスイーツギフト
熊本市街から車を走らせること約一時間。山鹿の歴史ある芝居小屋「八千代座」がある豊前街道から10分ほど車を走らせると、静かな住宅地の中におとぎ話の世界から抜け出したような佇まいの洋館が現れます。
白壁とアンティークな木目のカウンターですっきりとまとめられた店内で目を引くのが、正面に据えられたショーケース。中には宝石のように洗練されたお菓子たちが行儀よく並び、訪れる人の目を楽しませてくれます。
フランス菓子専門店『ricca(リッカ)』は平成30年のオープン以来、この場所を目的地に県内外から年間3万人もの人々が訪れる人気店へと成長。
それぞれ異なる才能を携えて帰郷した三人の兄弟が、この地で家族とともに歩み始めて8年。彼らが見つめているのは、事業を大きくすることだけではありません。山鹿という風土が育む豊かさを守り、次世代へと繋いでいくという「里山再生」を目指しています。
家族の絆が咲かせる「6つの花」
『ricca』という店名は、6つの花を意味する「六花(りっか)」に由来しています。そこには、長男・邦彦さん、次男・伸生さん、三男・勇生さんという三兄弟と、それぞれの伴侶を合わせた六人が才能という花を咲かせ、手を取り合っていこうとの願いが込められています。長男夫妻がアイスクリームの製造を担い、次男夫妻が農業を通して極上の素材を育てる。そして、東京の名店で研鑽を積んだ三男の勇生さんが、パティシエとしてそれらを至高のスイーツへと昇華させる―――。この見事な循環こそが、この店の揺るぎない魅力の源泉となっています。
「ここにはカフェも併設していて、私たちが大切にしているのは、年齢を問わず誰もが落ち着ける空間です。遠方からわざわざ足を運んでくださるお客様に滞在そのものを楽しんでいただきたくて」と語るのは、取材に応じてくださった長男・邦彦さん(画像右)と、三男の勇生さん。彼らの瞳の奥には、一人でも多くの人に山鹿の魅力を伝えたいという使命感と、訪れる人への深い敬意が宿っています。
太陽の恵みが凝縮された夏のご褒美「レモンケーキ」
今回、鶴屋の2026年お中元ギフトに勇生さんが用意してくださったのは、2つのギフトセットです。
まず一つ目は「レモンケーキ」。主役となるのは、不知火海岸沿いの段々畑で海風と太陽を浴びて育った『のむちゃん農園』のレモンです。
「この農園のレモンは、味の濃さが市販されているものとは格段に違うんです。酸っぱさの中に力強い深みがある」と勇生さんは言葉に力を込めます。
レモンの個性を最大限に生かすため、生地にすりおろした皮の香りを忍ばせ、絞りたての果汁をぜいたくに使用。バターではなくココナッツオイルを用いることで、夏にふさわしい軽やかな口どけと爽やかな余韻を追求しました。
一口かじれば、まるでレモンそのものを頬張ったかのような鮮烈な甘酸っぱさが口いっぱいに広がり、隠し味のホワイトラムが南国の風を思わせる香りを運んでくれます。両面を薄くコーティングしたアイシングは、心地よい食感のアクセントに。冷やしていただくと、植物油脂ならではの滑らかな口溶けがさらに際立ち、夏の疲れた身体を優しく癒してくれそうです。
山鹿の四季を旅する、彩り豊かなジェラートの共演
もう一つの主役は、長男・邦彦さんが手がける、地元素材の滋味をそのまま閉じ込めたジェラートの詰め合わせです。
次男・伸生さんが慈しんで育てた和栗をふんだんに使った「山鹿和栗」は、濃厚なペーストに甘露煮の食感が重なる、ぜいたくな一品。また、希少な「岳間抹茶」の芳しさが鼻を抜ける大人の味わいや、自ら収穫した渋柿を「あんぽ柿」に仕立ててクリームチーズと合わせた「洒落柿(しゃれがき)クリームチーズ」など、どれもが驚きに満ちています。
ほかにも、キャラメルのコクに天草の天日塩がキレを与える「塩キャラメル」、オーガニックチョコに金柑のコンポートが華を添える「金柑ショコラ」、そして生のイチゴをまるごとジュースにして閉じ込めた「山鹿イチゴ」。特に「金柑ショコラ」と「山鹿イチゴ」は、店頭では出合えない、お中元セットのための限定フレーバーです。箱を開けた瞬間、山鹿の里山の風景が鮮やかに浮かび上がる。そんな旅情を誘うアソートに仕上がりました。
未来を耕し、心を通わせる贈りもの
三兄弟はいずれも一度は故郷を離れたものの、それぞれの経験と技術を携え、伴侶とともに山鹿へ戻りました。新しい家族としてこの地に根を張り、日々の営みを重ねてきましたが、今日までの歩みは決して平坦なものではありません。店舗づくりに着手するタイミングで見舞われた2016年の熊本地震、そして新型コロナ禍という予期せぬ困難。しかし、それらを乗り越える力となったのもまた、兄弟の支え合いだったといいます。「お互いに干渉しすぎず、困ったときには助け合う。家族だからこそできる強みだと実感しています」という長男・邦彦さんの言葉には、深い信頼の絆がにじみます。
今、彼らは次の世代へと営みを繋ぐことを見据えています。いずれは衣食住のすべてをこの場所から発信する「里山の複合拠点」を目指し、カフェの増築や自家製ワインのためのブドウ栽培にも取り組みたい。果敢に歩み続ける三兄弟夫妻の姿にそれぞれの子どもたちは憧れ、大人たちもまた我が子の成長と里山再生を願い、未来を耕し続けています。
「兄弟家族で力を合わせれば、できることは無限大」。その言葉どおり、『ricca』のお菓子には、山鹿の豊かな自然と家族の温かな物語、そして未来への希望が静かに息づいています。この夏、大切な方への真心を込めて、山鹿の物語が宿るギフトをお届けしませんか。