Vol.3
阿蘇の逸品
南阿蘇の風と職人の情熱が一皿に。
「あか牛」と「グリーンカレー」で彩る夏の食卓
鶴屋本館地下1階に直営店を構える「阿蘇の逸品」。このブランドを展開する『株式会社 阿蘇ナチュラル・ジェイファーム』の協力のもと、熊本県産食材の魅力を詰め込んだ鶴屋限定の2026年お中元ギフトが誕生しました。
熊本県産あか牛をぜいたくに使った特製ビーフシチュー、熊本県産うまかハーブ鶏と夏野菜を彩り豊かに仕上げたグリーンカレー、そして熊本らしさを語るうえで欠かせない馬肉の燻製と炙り馬刺し。いずれも素材の良さを知り尽くした作り手たちが丹念に仕立てた品々です。
熊本地震から10年。幾度もの困難を越えてきた熊本には誇るべき食材があり、その価値を磨き続ける人々がいます。南阿蘇の大地で、その思いに触れてきました。
世界に通用する味を、南阿蘇から
阿蘇の外輪山を望む、雄大な高原地帯。澄んだ空気のなかに建つ本社工場には、食肉加工場のほかに二つのレストランが併設され、遠くからでも凛とした佇まいが印象的です。到着すると、今回の商品開発に携わった皆さんが笑顔で迎えてくださいました。
(左から)取締役の秀島新さんと森孝臣さん、シェフの知念幹雄さん
創業当時から掲げる志、それは「世界に認められるハムやソーセージをつくりたい」というもの。九州・熊本を中心に選び抜いた原料を用い、ドイツマイスターの伝統製法を礎(いしずえ)に、数々の国際コンテストで高い評価を受けてきました。
鶴屋でも贈答用ギフトとして長く愛されてきた「阿蘇の逸品」シリーズ。その確かな実績のもと、新たな魅力として加わったのが、今回の鶴屋限定ギフトセットです。
シェフの感性が光る、夏野菜とハーブ鶏の「グリーンカレー」
今回のセットの中でも、ひときわ清涼感を放つのが「熊本県産うまかハーブ鶏のグリーンカレー」。開発に携わった秀島さんは、その意図をこう明かしてくださいました。「夏らしいギフトとして、少し意外性のあるものをお届けしたいと考えました。本格的なグリーンカレーは一般的には馴染みの薄いものですし、ご家庭で一から作るのは難しい。だからこそ、贈り物として届いたときに『グリーンカレーってこんなにおいしいものだったのか』と喜んでいただけるきっかけになれば」
この一皿を完成させたのは、レストランの厨房を守る知念シェフです。自他ともに認めるカレー好きであるシェフは、レストランの味を「真空冷凍」という形で再現するために、緻密な試行錯誤を繰り返しました。
「一番の課題は、解凍した際のお肉の質感と野菜の食感でした。肉好きの私としては、温め直したときにお肉がパサつくのはどうしても避けたくて」
そこでシェフは、熊本県産「うまかハーブ鶏」のもも肉を使用し、あらかじめカレーペーストを揉み込み下味をつけ、小麦粉を薄く纏わせてから焼き上げるひと手間を加えました。これにより肉の水分を逃さず、口にした瞬間、驚くほどふっくらとしたジューシーさが広がります。また、彩りを添えるズッキーニやナスといった夏野菜は一度素揚げして余分な水分を飛ばすことで、冷凍してもシャキシャキとした食感を保つ工夫がなされています。
一口含めば、ココナッツミルクのまろやかな甘さが広がり、その奥からバジルとナンプラーの爽やかな香りが鼻を抜けていく。後から訪れる程よい辛みは、お子様からご年配の方まで、ご家族でお楽しみいただける絶妙なバランスに仕上がっています。
あか牛の深み、馬肉の薫香。一頭買いに込めた誠実
そしてもう一つの主役は、鶴屋ギフトの定番として愛されている「熊本県産あか牛の特製ビーフシチュー」です。一頭買いしたあか牛の希少な部位をぜいたくに使用し、野菜が形をなくしてソースに溶け込むまで、じっくりと時間をかけて煮込まれています。
取材の際、実際に試食させていただいたその味は、まさに芳醇。赤ワインがもたらす奥深いコクと、スプーンで容易にほぐれるほど柔らかなお肉。それは、熊本市内にある直営レストラン『ゲルマンハウス』でも不動の人気を誇る、正真正銘のレストラン・クオリティーです。「大量生産には向かないかもしれませんが、自分たちが納得できる原料を選び、手間を惜しまない。それが私たちの原点ですから」と、森さんは微笑みます。
さらに、熊本の食文化を象徴する「馬肉」のセットも見逃せません。馬刺し専門店『古閑牧場』から仕入れた極上の赤身をオリジナルスパイスとニンニクで炙った「炙り馬刺し」と、山桜の原木チップでていねいに燻した「馬肉の燻製」。噛みしめるほどに広がる馬肉特有のうま味と、鼻をくすぐる薫香は、酒肴としてはもちろん、ご飯のお供にも好適。食卓に並べれば、熊本ならではの豊かさを感じていただけます。
十年の節目に思う、変わらぬ風景と進化する食の形
熊本地震から10年。「当時は道が寸断され、お客様に来ていただくことも、私たちが通うことさえ叶わない時期がありました」。森さんは、活断層の上に位置した工場の被災、そして阿蘇大橋の崩落という困難な日々を振り返ります。しかし、その苦難があったからこそ、熊本を応援する全国の声に支えられ、改めて地元の食材の素晴らしさに気づかされたといいます。
さらに近年の社会情勢の変化は、同社の「食」のあり方にも新たな光を当てました。「新型コロナ禍で外出がままならない時期、ご家庭でもレストランの本格的な味をそのままに楽しんでいただきたい。そんな思いが、冷凍総菜の開発を後押ししました」。
震災、そして新型コロナ。激動の10年を経て、守り抜いたのは「阿蘇に来れば、あの味に会える」という安心感。そして進化させたのは、大切な方のもとへその味を届けるための、新たな技術と真心でした。
世代を繋ぐ「おいしさの約束」を、大切なあの方へ
震災、そして新型コロナ。激動の10年を経て、守り抜いたのは「阿蘇に来れば、あの味に会える」という安心感。そして進化させたのは、大切な方のもとへその味を届けるための、新たな技術と真心でした。
秀島さんも、鶴屋に店舗を構える中で感じる喜びをこう付け加えます。「高齢のご夫妻がお孫さんを連れてお買い物に来てくださる。そしてお孫さんが大人になったとき、またご自身のお子さんを連れてきてくださる。そんな世代を繋ぐ関係性の中に、私たちの商品が寄り添っていられたら、これほど幸せなことはありません」
便利さが優先される時代だからこそ、湯煎や電子レンジひとつで職人が丹精込めて作った「でき立ての味」が食卓に並ぶ。それは、いそがしい日々を過ごす方への、何よりのねぎらいになるはずです。
阿蘇の雄大な自然が育んだ恵みと、作り手たちの誠実な歩み。 この夏、大切な方へお届けするのは、熊本の豊かさを映した、心安らぐ美味の贈り物です。贈る皆さまの思いが、一皿の料理を通じて大切な方へと届きますように。